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リリカルってなんですか?
A's編
第三十話
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のではない。オリジナルのデバイスだった。

 背後にはやてちゃんをかばいながら僕は周囲を囲む五人を見てみる。彼らはたかだか子供を囲っているにも関わらず油断なく僕とはやてちゃんを見ていた。僕に背中にいるはやてちゃんもようやくこの状況に気付いたのか、怖がるように、恐怖から逃れるようにぎゅっ、と僕の服をつかんできた。

 僕が彼らを怖いと感じないのは、これまでの経験からだろうか。テロリストにも出会ったことがあるのだ。この程度であれば、一度は経験している。それになにより、僕がこの場所にいる理由が恐怖から遠ざけていた。この場所には、はやてちゃんの護衛でいるのだ。決して、友人として遊びに来たわけではない。だから、僕ははやてちゃんを護るためにも一人で怯えているわけにはいかなかった。

 リビングのソファーを間に挟んでにらみ合う僕たち。やがて最初に口を開いたのは僕からだった。

「……あなたたちは誰ですか? 生憎ながら、この家に土足で上がりこむような失礼な輩は招待した覚えはありませんが」

「―――はっ、肝の据わった小僧だな。そいつはすまなかった。我々もこの世界の作法など知らなくてな。なに、用事が済めばすぐに帰るさ」

 そう言って、僕に合わせていた視線を背後のはやてちゃんへと移した。その瞳はどす黒く沈んだ色だ。しかし、その奥からは激しく、強い意志を見ることができる。そんな視線に射抜かれて、はやてちゃんはビクンと体を震わせ、さらにぎゅっと強く僕の服をつかんだ。

「小僧、俺たちにそいつを―――闇の書の主を渡してもらおう」

 彼の言葉が総意であるように彼らが一人残らずうなずいた。

「いやだ……と言ったら?」

 僕の答えは意外だったのだろうか、あるいは予想通りだったのだろうか。彼は、面白いというような笑みを浮かべる。嘲笑にも見える笑みを。相手は確実に僕を格下に見ていることが明白だ。だが、それでいい。そうでなくてはいけない。この場から確実に逃げ出すためには、必要なピースの一つだった。彼らからしてみれば、僕たちは隅に追いつめられたネズミであり、彼らは猫のような感覚だろう。いつでも捕まえることができ、なぶることができる相手。それが、僕とはやてちゃんだ。

「そうだな―――悪者みたいであまり好きではないんだが……俺たちもこの機会を逃せないんでな」

 顎に手をやりながら考えるふりをする男。次の言葉は容易に想像できた。次の行動さえ予想できれば、こちらでタイミングを計ることはそんなに難しいことではない。

 ―――そう、彼らは『窮鼠猫をかむ』という言葉を知るべきである。

 彼の「いけっ!」という言葉と僕の「チェーンバインドっ!」という言葉はほぼ同時だった。すでに僕はクロノさんから受け取ったS2Uのバリアジャケットの展開は終わっ
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