A's編
第三十話
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分に感じてきたものだったからだ。その違和感だけで何が起きたかを理解できた。そして、その不自然さも同時に理解できた。なぜなら、ありえないことだからだ。
――――魔法による結界に飲み込まれるということが。
4月のユーノくんの結界に取り込まれたときと似たような状況と言えばいいだろうか。あのときは、魔法による不自然さしか感じられなかったが、今までの魔法の鍛錬が身についたのか今ではしっかりと違和感を感じられるようになっていた。
何が起きてもいいように、いつも用心のために持っていたカードを手に握る。それは、クロノさんから手渡されたデバイス。前回使った汎用型の武装隊の隊長クラスが使うというデバイスではなく、クロノさんが愛用していたデバイス『S2U』。護衛を引き受けた時に、万が一のために渡されたものだった。
クロノさんは、これを渡すとき、そんなことはないだろうが、と苦笑していた。僕もまさかそんな日が来るとは夢にも思っていなかった。一体どうしたのだろうか。八神家は武装隊によって護衛されているはずだ。もしかして、外部から誰かが攻め込んできて、結界を展開したのだろうか。それならば、まだいいのだが。そうだろうと決めつけるのは今までの経験からよくないと感じていた。
「な、なんや? どうしたんや? ショウくん」
事情がよく呑み込めないのだろう。突然、ポケットからカードを取り出した僕を見て、はやてちゃんがうろたえていた。
はやてちゃんは、魔法の素質は闇の書に魅入られるぐらいにあるのだろうが、それも鍛錬しなければ宝の持ち腐れなのだろう。才能はあれども、僕が容易く感じられる違和感を彼女は感じられない。何も感じない彼女からしてみれば、今の僕は突然立ち上がってカードを取り出したようにしか見えないわけだ。
僕は、手短に事態を説明しようと思ったのだが、それはできなかった。なぜなら、説明するために口を開こうとした瞬間にこの結界を張った張本人たちが現れたからだ。
闖入者が入ってきたのは玄関からリビングへとつながるドア。しかし、どうも闖入者は行儀はよくなかったようである。ドアをけ破って入ってきたのだから。
無理やりドアをこじ開けたようにバンッという音を残して扉が外れる。突然の大きな音にきゃっ、と身を伏せるはやてちゃんと飛んでくるドアからはやてちゃんを守ろうと背にかばう僕。幸運にも飛んだドアは僕のほうへは飛んでこなかったが、その一連の動作の間に闖入者たちは、次の行動を終えていた。
つまり、僕たちを取り囲むということだ。そう、闖入者は一人ではなかった。僕たちを囲むように五人。それぞれが杖のようなものを持っている。武装隊の人たちが持っているような杖であることから、それらがデバイスであることに間違いはないだろう。しかし、汎用のも
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