A's編
第三十話
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リサちゃんに怒鳴られたんでしょう? アリサちゃん、それでショウくんが怒ってないか気になるみたい」
「なんで僕が怒るの? 悪いのは僕なのに」
僕はアリサちゃんが心配する意味が分からなくて首をひねった。
「アリサちゃんが、ショウくんの用事も聞かずに怒鳴っちゃったからじゃないかな? 誰だって、正当な理由があって断るのは当然だよ。ショウくんだって、外せない用事なんでしょう?」
どうやら、すずかちゃんはあらましを知っているようだ。それもそうか、彼女も一緒に遊園地に行くメンバーに入っているのだから。
「うん。これだけは外せないんだ」
今年の四月のようなものだが、今回ばかりは外せない。ほかの用事なら都合をつけられるかもしれないが、こればかりは都合をつけられない。僕にも引き受けた責任があるのだから。
だが、僕がそういうとすずかちゃんは、少しだけ難しい顔をした。
「う〜ん、やっぱり。ショウくんが意味もなく断るわけないもの。でも……そうだとすると、しばらくアリサちゃんと話さないほうがいいかも」
「え? どうして?」
僕としては直接アリサちゃんに話したいと思っているのだが。
「アリサちゃん、相当怒っているみたいだったから、もちろん、私に話すみたいに、つい怒鳴っちゃうことには自己嫌悪はしてるみたいだけど……ほら、アリサちゃん、どちらかっていうと直情傾向があるから、あとで後悔しちゃうってわかってても怒鳴っちゃう」
確かに。アリサちゃんにはそういう傾向がある。アリシアちゃんと怒鳴りあうことも多いみたいだ。そのたびに、アリサちゃんは、僕に涙目で話しかけてくる。どうやったらアリシアちゃんと仲直りできるだろうか、と。もっとも、いつもは原因があるほうが謝っておしまいなのだが。
それはアリサちゃんの性格なのだからそう簡単には治らないのだろう。
「ショウくんがいけるようになったら話は別だけど、このまま行けないならアリサちゃんもまたショウくんを怒鳴っちゃうかもしれないでしょう?」
その可能性はないとは言い切れない。よほど楽しみにしていたみたいだし、もしかしたら、誤っても僕が『行くよ』と言わない限りは解決しないかもしれない。ごめん、と僕が謝るたびに怒鳴ってしまうかもしれない。もうすぐ3年となろうという彼女との付き合いが、その様子を容易に想像させた。
「そして、アリサちゃんはそのたびに自己嫌悪に陥っちゃう。だから、アリサちゃんのためにもショウくんは話しかけないほうがいいと思うの」
「でも……」
そう、すずかちゃんの言いたいことはわかる。分かるが、僕が悪いのに謝りもしないのは、非常に心苦しいし、気持ち悪い。
「大丈夫。ショウくんの気持ちは、アリサちゃんにはきちんと私が伝えるか
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