A's編
第三十話
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寝ているだけだが、今では後ろから抱き着くように一緒のベットに入っている。少女特有の体温の高さをパジャマ越しに背中に感じていた。
「なぁ、ショウくん、起きとるか?」
「うん」
あれから言葉が少なかったはやてちゃんが初めて自分から話しかけてきてくれた。
「あんな私の家族の話聞いてくれるか?」
家族というのは今日の彼らのことだろうか。そう思いを巡らしている間に無言を肯定と受け取ったのか、今まで家族のことについて語ろうとしなかったはやてちゃんが家族について語り始めた。
まずは、あのポニーテイルのシグナムさん。彼女は、烈火の将というリーダーらしく、責任感があり、硬い性格であったそうだ。いつも自分を心配して、そして家族みんなを大切にしていたとうれしそうに語ってくれた。
金髪のシャマルさんは、おっちょこちょいなお姉さんのような存在で、料理をさせると失敗することが多く、なぜか同じ調理法で作ったはずなのに全く違うものができるという魔法のような料理を作っていたと苦笑しながら語ってくれた。
たった一人だけの少女は、妹のような存在だった。いつも元気で、自分が作った料理をギガウマッと言いながら口いっぱいに頬張る姿はリスのようで、微笑ましかった。いつも一緒にお風呂に入って、ベットも一緒で、とっても仲良しだったと語ってくれた。
唯一の男性であるザフィーラさんは、実はオオカミで女世帯なのを気にしていつもオオカミの姿だった。だが、どこかで必ず見守ってくれるお兄さんのような存在でもあり、守護獣であることに誇りを持っていたと、彼を誇るように語ってくれた。
「自慢の家族なんだね」
彼女の口調からそれをありありと感じることができた。
「そや。―――でも、今は一人や」
あの時、シグナムさんから「あなたなど知らない」と言われたことを思い出したのか、はやてちゃんの声は震えていた。
「前は一人でも平気やったんや。でも、もう無理や。知ってしまったんや。みんなでいることの楽しさを。だから、もう寂しいのは嫌なんや。一人は嫌なんや」
はやてちゃんは訴えるように言う。
いつから一人だったのか僕は知らない。彼女がどんな気持ちだったか知らない。だが、一人がいやだ、寂しいのはいやだ、というのはしっかりと伝わった。そんなものは杞憂に過ぎないというのに。だから、僕は安心させるようにできるだけゆっくりと穏やかな声ではやてちゃんに話しかけた。
「大丈夫。はやてちゃんは一人じゃないよ」
「え?」
「今、君のために頑張ってくれている人がいる。クロノさんやエイミィさん……はやてちゃんは知らないかもしれないけど、アースラって船に君を助けるためにたくさんの人たちが動いてくれている。それに―――」
そう
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