A's編
第三十話
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々としたはやてちゃんの声。ザフィーラというのが彼の名前なのだろうか。どうやら彼らがはやてちゃんの家族というのは間違いないようだ。しかし、今までどこにいたのだろうか。少なくとも僕がいた一週間はいなかったはずだ。こんなに近くいたなら、あんなにはやてちゃんが待ち焦がれていることがわかっていれば家に帰ってきてもおかしくないと思うのだが。
今、そのことについて考えるべきか迷った。だが、そうやらその疑問を考えるのは後になりそうだ。
「はっ、はははははっ! まさか、まさか、こんなところで会えるとは思えなかったぜっ! ヴォルケンリッタ―っ!」
まるで待ち焦がれた恋人に再会したように闖入者の代表格の男は笑っていた。その下に隠していた復讐という黒い感情を今度は一切隠そうとせずに。彼はひとしきり笑うと彼自身も彼自身の獲物であろう杖を構えていた。
「このときをずっと待っていたっ! 俺の―――俺たちの日常を壊した報いをっ!!」
それ以上の言葉は不要と言わんばかりに彼は襲いかかる。まるでそれが始まりの合図であるようにほかの三人も己の獲物を構えて同時に襲いかかる。この場所が戦場である以上、卑怯という二文字はないのだろう。それに彼女たちは倍の人数に襲われながらも、特に真紅の少女は笑っていた。足りない、この程度では足りないというように。
「はっ! 上等だっ! 誰に喧嘩売ったか教えてやるよっ!」
勝負は本当に一瞬だった。『ある程度』以上の魔導士が束になっても全く相手にならなかった。
―――たった一撃。それだけで魔導士たちがつぶれていた。代表格の男も何がわからない、というように驚愕の表情を浮かべながら地面に横たわっていた。どうやら、息絶えているわけではなさそうだが、それでも確実に意識は失っていた。地面に転がる魔導士の数―――十五。どうやら、途中で襲撃してきたように八神家のあちこちに伏せていたようだ。もっとも、全員が地面に倒れており、八神家のテラスは死屍累々の様相を呈していたが。
「あら、もう終わっちゃったの?」
死屍累々の庭に似合わないのんびりとした声が、テラスに響く。状況把握に手いっぱいの僕と残心をしている彼女たちの視線が同時に彼女―――モスグリーンのロングスカートの洋服に包まれ、ナースキャップのような帽子をかぶった金髪の女性に集まる。ただし、そののんびりとした口調とは別に片手に猫のように首根っこがつかまれた魔導士が何ともシュールだ。
「シャマルっ!」
そして、今までと同じように喜びが隠せないといった様子のはやてちゃんの声。これで四人。食卓に用意されていたのは三人分だが、尻尾がある男性がアルフさんのようにオオカミになれるとすれば、これで全員なのだろう。
彼らが、はやてちゃんたちの家族かぁ……とある種、
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