A's編
第三十話
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とを願いたい。もっとも、少しは和らいでいるかもしれないが、僕と見た瞬間に再発する可能性は十分に残っているから油断はできない。
僕が有効的な手段を見つけられないまま教室に入ると既にアリサちゃんはすずかちゃんと一緒に来ているようだった。アリサちゃんの席で何かを話しているのを見つけることができた。しかし、それだけだ。アリサちゃんも僕に気付いたのだろう。視線が一瞬だけ合うと彼女は、ふいっ、と視線を外す。
―――まだ、怒っているのか……。
怒っているということに関しては予想通りだったが、顔を逸らされるというのは意外とショックだった。しかし、落ち込んでもいられない。早いところ謝って機嫌を直してもらわなければ。アリシアちゃんのような小細工でうまくいくとは思えないが、埋め合わせはしなければならないだろう。僕のお小遣いでは海鳴アミューズメントパークは無理だから、別の場所を用意するべきだろうか。
そんな風に自分の席で、うむむむむと悩んでいると僕より頭一つ分高い位置から聞きなれた声が降ってきた。
「ショウくん、お悩み?」
上を向いてみると、先ほどまでアリサちゃんと一緒に話していたはずのすずかちゃんが僕の隣に立っていた。僕がよほど面白い顔をしていたのだろうか、彼女は僕の様子を見てくすくすと笑っていた。
「うん、まあね」
もしかして、すずかちゃんは何も聞いていないのだろうか。だから、僕が悩んでいることに気付いていない? いや、そんなことはないはずだ。彼女たちは本当に親友と呼んでいい間柄だ。ありさちゃんは、何かあればすずかちゃんに言っているだろう。今回のことだって例外じゃないはずだ。
「すずかちゃんは、アリサちゃんから何か聞いていない?」
僕がそう予想したのは、すずかちゃんが一人で来たことだ。いつもなら、アリサちゃんと一緒に来るのに、今日は一人で僕に話しかけてきた。だから、何かあるのだろうと予想したわけだ。僕の言葉が予想外だったのか、すずかちゃんは一瞬だけびっくりしたような表情を浮かべたかと思うとすぐに表情を取り繕って先ほどと同じように笑う。ただ、その笑みには少しの賞賛が見て取れた。
「すごいね、ショウくん。うん、アリサちゃんってば、ショウくんの様子が気になって仕方ないみたいだよ」
まるで子どもを見守るお姉さんのように面白がって笑っているように思える。すずかちゃんの様子はともかく、僕からしてみればアリサちゃんのその反応は予想外だった。僕がアリサちゃんの様子を気になるならわかる。なぜなら、僕はアリサちゃんを怒らせてしまったからだ。しかし、アリサちゃんは、怒った側だ。しかも、何か悪いところがあったとは思えない。つまり、僕にはアリサちゃんが僕の様子を気にかけるような意味が分からないのだ。
「昨日、ア
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