A's編
第二十九話 裏 (夏希、エイミィ、アリサ)
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内部でも探して見つからない資料はないと言わしめる無限を冠する図書館だ。もっとも、『無限』の名前は伊達ではなく、まったく整理されていない本の山の中から目的の資料を見つけるのは至難の業である。あるところによるとチームを組んで三か月間無限書庫に勤めて資料を探し出したというのがむしろ幸運だというのだからその広さは推して知るべしというところだろう。
そんな場所に一人で―――いや、最初はその予定だったが、今は異なる。今では総勢十人のチームを結成していた。ユーノの出身であるスクライア一族の子供たちで結成されたチームだ。もっとも、その内容は、非常に偏っており、男の子は三人―――うち二人は六歳というのだから驚きだ―――女の子が七人というチーム編成だった。しかも、女の子たちは、何か別の目的が透けて見える。面白そうだなぁ、とエイミィは思うのだが、下手に首を突っ込むと他部族の問題に手を出したことになるエイミィとしても不味い事態になるので自重している。
彼らはわずか一か月の納期というある意味、人知を超えた領域に挑戦しようとしていた。もっとも、進捗を聞く限りでは、無謀ともいえないのだから探索を生業にするスクライア一族恐るべし、というところだろうか。
『その通りですよ。進捗状況は順調です。闇の書に関する情報も上がってきています』
レポートはそちらに転送したとおりです、とユーノは言う。そのコピーは一応エイミィにも来ている。その内容を開いてみてみれば、確かに闇の書に関するまとまった資料が現れた。
『今のところ、グレアム提督から提出された資料に偽りはありません』
「そうか……」
残念そうにつぶやくクロノ。
本音を言うと、グレアムの資料に不備があり、凍結による封印処置を逃れられるのではないか、と考えていたのだ。しかし、グレアムは時空管理局内部では英雄と呼ばれる人物だ。資料の不備など期待するだけ無駄だったのかもしれない。
「それで、闇の書の前身というのは見当が付きそうなのか?」
『それに関してはまだ何とも言えません。今は、グレアム提督の資料の洗い出しをしている最中ですから』
残念そうに言うユーノ。そう、最初にグレアムの資料を洗い出すことにしたのだ。確かにグレアムの資料を土台にすることは可能だ。だが、ある意味グレアムはクロノとは対極に位置する。妥協することにしたグレアムと足掻くクロノ。ならば、敵の資料を土台にすることなどできない。だから、最初に資料の確認から行っているのだ。
一応、クロノとしても雇っている身として一日一回の定時連絡を入れているが、最近の進捗はグレアムの資料の確認という目に見えた進捗がわからないだけに落胆してしまう。
「わかった。引き続き作業を続けてくれ」
『あ、いえ、一つだけ朗報です』
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