A's編
第二十九話 裏 (夏希、エイミィ、アリサ)
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の? アリサちゃん』
「あ、すずか? あの……実は―――」
向こう側のディスプレイにはすでにアリサの名前が出ていたのだろう。すぐにアリサの名前を呼ぶすずか。アリサは、すずかの対応に甘えるようにすずかの名前を呼んだあと、すぐに事情を説明した。
『アリサちゃん、それはダメだよ』
はぁ、とあきれたように言うすずか。
「わ、わかってるわよっ! でも……あの時は、そのぐらい怒ってたのよ」
そう、アリサにだってわかっている。翔太が、苦労してとったチケットを無駄にするような人間ではないと。それなのに断ったのには、よっぽどの理由があるということも。だが、それを理解しても、なおアリサには許せなかったのだ。自分の一大決心がすべて否定されたような気がして。だからこそ、怒鳴ってしまったのだ。
『それで、アリサちゃんは、どうしたいの?』
「あ、あのね、ショウは怒ってないかな?」
それがアリサにとって一番の懸念事項。もしも、すずかが『怒ってないんじゃないかな?』と答えてくれたなら、その言葉を、アリサにとって足りない少しの勇気に変えて翔太に電話しようと思っていたのだ。だが、いつまでたってもすずかからアリサが期待している言葉は返ってこない。
『う〜ん、わからないね。もしかしたら、ショウくんでも怒ってるかも……』
「そ、そんな……」
それは、アリサが聞きたい答えとは対極に位置していた。だから、思わず情けない声を出してしまったのだ。翔太は怒ってしまったのだろうか、もしかして、自分は嫌われてしまったのだろうか、と。
そんなアリサを救うようにすずかが、言葉を続ける。
『それじゃ、明日、それとなくショウくんに私が聞いてみるよ』
「ほ、本当!?」
それは、アリサにとって救いだった。怒ってなければいいのだが、とは思うが。もしも、最初から怒っていることがわかっていれば、それなりの誠意の見せ方だってある。アリサにとって翔太は失いたくない親友なのだ。だからこそ、どんなことをしても許してもらうつもりだった。
だが、ここでアリサから電話をかけて、話すことさえ許してもらえなくなったら、謝ることさえできなくなってしまう。
『うん、もちろん。ショウくんとアリサちゃんのことだもの』
「うん、すずか。お願いっ!」
それから、2、3言話して、アリサとすずかは電話を切った。電話を切ったアリサは携帯電話を枕元に投げ捨て、自分もベットに向かってダイブした。柔らかい布団がアリサを迎えてくれた。先ほどまでの憂鬱な気分はどこへやら。すずかが何とかしてくれると思うとアリサは先ほどの気分とは違って軽い気持ちになることができた。
「ショウのやつ怒ってなかったらいいな……」
すずかが何とかしてく
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