A's編
第二十九話 裏 (夏希、エイミィ、アリサ)
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たのは。
犬から助けられた一件が効いたのか、桃花は何かにつけて翔太を頼るようになってしまった。「ショウくん、ショウくん」と。それが夏希としては面白くない。今まで桃花に頼られていたのは夏希だったのに、その位置に翔太が来てしまったのだから。確かに、犬から助けてもらったのはその通りで、夏希としても恩を感じていないわけではない。しかし、それはお礼を言った時点で終わっていた。
しかも、翔太も桃花ばかりを相手にしていられない。彼はほかの子も相手にしているのだから。桃花が話しかけようとした矢先からほかの子に順番を取られるようなことも多々だ。それほどまでに彼は子供なのに多忙だったのだ。しかも、桃花はいくら用事があろうとも、そんなに強く言えるわけがない。
夏希としては、翔太を頼ることは気に食わないが、桃花が翔太に話しかけられなくてがっかりしている様子を見るのも嫌だった。
もしも、夏希の考えが翔太に知られたならば、どうしろっていうんだよ、と愚痴をこぼされたに違いない。
だから、夏希は桃花のがっかりした顔をこれ以上見ないために行動を起こすことにした。つまり、翔太が忙しいのは、翔太以外に誰もまとめる人間がいないからだ。だから、翔太はこんなに忙しくなる。ならば、自分がその役割を買って出ようと思った。そうすれば、翔太の手が空いて、桃花が話しかけるチャンスが出てくる。
その夏希の考えは、ある意味正解だったのかもしれない。それは、もしかしたら、夏希にもともと人を束ねる才能があったためかもしれない。気が付けば夏希が考えている以上に、夏希はグループのリーダーになっていた。そして、夏希がもくろんだ通りに翔太との接点が増えた。
ただし、それは桃花がではなく、夏希が、だが。
どういうことかというと、リーダー格の話し合いというやつである。翔太としても夏希がリーダー格に収まっていることは承知しているらしく、個別にいくよりも夏希に直接持ってくる機会が増えた。そこから、また夏希は翔太のグループ掌握術を学んで、さらにリーダーとしての才能に磨きをかけていくのだが、それは余談だ。
さて、目的であった桃花と翔太の接点であるが、これは夏希のおこぼれにあずかる形で夏希のもくろみ通りに増えていった。もしかしたら、家が近所であることも関係しているのかもしれないが。
それは、保育園を卒園して小学校に入学してからも変わらなかった。
幸いなことに翔太と彼女たちの進学先は同じだった。残念ながら、保育園の半分は公立の学校に入学してしまったが。こればかりは仕方ない。しかも、同じクラスになったのは、翔太と夏希と桃花ともう一人だけだ。もちろん、翔太と接点がさらに増えたのは言うまでもない。
その間に、翔太との関係は変わることはない。小学校でもリー
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