A's編
第二十九話
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けるはやてちゃんだったが、僕が連れてきた手前もあるのだろう。僕とクロノさんをリビングへと案内してくれた。
差し出されたコーヒーを前にクロノさんは、突然の話で戸惑うかもしれないが、と前置きして、はやてちゃんに闇の書に関することを話し始めた。
もしかしたら、いきなり魔法とかロストロギアとか、君には巨大な魔力が眠っているんだ、と言われても信じられないだろう、と危惧していたのだが、意外なことにはやてちゃんはすんなりとクロノさんの言ったことを信じていた。いや、むしろ、驚いたことは、はやてちゃんは自分の実状を知っていたことだろうか。そして、僕は驚いたのだが、クロノさんはやっぱりというような表情ではやてちゃんを見ていた。
「―――というわけで、八神はやてさん、僕たちに協力してくれないだろうか?」
クロノさんが、はやてちゃんの現状について話した後、管理局の作戦の内容―――闇の書の魔力を蒐集し、暴走状態になる一歩手前で封印を行う―――を話し、はやてちゃんに協力を求めた。クロノさんから話を聞いたはやてちゃんは、少し考えるようにう〜ん、と考え込んだ後、改めて口を開いた。
「一つ質問いいですか?」
「ああ、どうぞ」
「闇の書は―――あの子は、どうしても封印せなあかんのですか?」
「……あの子?」
闇の書を『あの子』とまるで人格があるように表現したはやてちゃんが不可解だったのだろう。引っかかった部分を繰り返すようにクロノさんが問い返した。
「ええ、そうです」
「……君が言うあの子というのが、闇の書のことであれば、答えはイエスだ。時空管理局では、あれを完全に消滅させる手段を持っていない。いや、持っていたとしても、闇の書は完全修復機能と転生機能を用いて、次の主へと転生するだけだ。だからといって、君の元で放置はできない。魔力を集めるにしても、集めないにしても、この地に災厄を振りまいて転生することは間違いないからね」
「そうなんか……」
やや気落ちしようにつぶやくはやてちゃん。僕には闇の書とはやてちゃんの間にある関係がわからないから、何も言えない。もしかしたら、あの子と称するように闇の書には人格のようなものがあるのかもしれない。ペット……とは異なるかもしれない。だが、人格があるものを封印しますと言われても、はい、どうぞとは簡単には言えないだろう。特にはやてちゃんのような家族がいない環境であれば。
―――もしかしたら、はやてちゃんは拒否するかもしれないな、と思った。拒否したからといって事態が好転するわけではなく、ただの問題の先送りにしかならないのだが。それに、クロノさんも遊びで提案しているわけではないのだ。今日はあきらめるとしても継続的に説得は続けるだろう。それに僕だって、このまま無為にはやてちゃん
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