A's編
第二十九話
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のだろう。クロノさんが浮かべる笑みによって好奇心がうずうずと湧き上がってくるが、見てしまえば、それを自分がやらなければならないということを考えてもだえ苦しみそうなのでやめておこう。
「……ところで、その乙女の夢とロマンっていうのはどのくらいのレベルなんですか?」
「う〜ん……君が思春期になったころに、ふと思い出して、ベットの上で転げるぐらいだろうか。いわゆる、黒歴史というやつだね」
よかった。はやてちゃんと先に友人なっていて本当に良かったと切に思った。
「……その話題はこのぐらいにして、結局、僕たちがお手伝いするのは、クロノさんたちをはやてちゃんに紹介するということでいいんですか?」
これ以上は、虎の尻尾を踏みかねない。ここら辺が引き際だろう、と僕は話題を元の路線へと戻した。なによりも、もうすぐ夕方になろうとしている。時空管理局のクロノさんたちを紹介するとなれば、少しでも早いほうがいいだろう。夜遅くの訪問はほめられたものではない。
クロノさんも僕の真意をくみ取ってくれたのだろう。うん、とうなずくとさらに一言付け加えた。
「いや、あともう一つお願いしたいことがある。八神はやてさんの護衛だ」
「護衛?」
クロノさんが言っている意味が分からなくて、僕はクロノさんが僕に頼んだことをそのまま聞き返した。クロノさんも自分が唐突だったことを自覚しているのだろう。コホン、と場を整えると僕に言葉の意味を説明してくれた。
「今回のことで、八神はやてさんが闇の書の主ということは広く知られてしまった。いや、一応、任務ということになっているが、人の口にとはたてられない。はやてさんが闇の書の主ということは、いずれ広まるだろう。そして、過去の闇の書の被害者たちが、復讐のためにはやてさんを襲撃することが考えられる。そのための護衛だよ」
「そんな……はやてちゃんは、何もしていませんよ」
そう、何もしていない。クロノさんの話によると、はやてちゃんの足が不自由なのは、闇の書から魔力を吸われているかららしい。そして、そのまま放っておけば、はやてちゃんは闇の書から魔力を吸い取られ、やがては死に至るようだ。もしも、彼女が自分の命の惜しさに魔力を蒐集していたとすれば、彼女の体調は回復していただろう。彼女が未だに足が不自由なのが、はやてちゃんが魔力を蒐集していない何よりもの証拠だと言えた。
「そうだ。僕たちとしても、彼女が何もしていないのはわかっている。しかし……それでも、彼女は『闇の書』の主なんだ。そして、襲撃するような連中に八神はやてさんが、何かしているかどうかなんて関係ない。彼らに必要なのは、八神はやてさんが『闇の書の主』という事実、ただ一つだけだ」
少し違うかもしれないが、坊主が憎ければ袈裟まで憎いとい
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