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星河の覇皇
第二部第五章 次なる戦いへの蠢動その一
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                次なる戦いへの蠢動
「日本の動きだが」
 地球旧北米地区のある豪奢なホテルの一室である。その中に彼等はいた。
「皆さんはどう思いますか」
 見ればスーツ姿の男達が席に座っている。人種は多岐に渡っている。しかも顔立ちから察するにかなりの混血が見られる。これも連合の特色である。その中の中心的茶色い髪の黒人が言った。
「そうですな」
 アジア系であるが緑の瞳をした中年の男がまず答えた。
「正直に言わせてもらいますとまたか、という感じです」
「同感ですな」
 ここで大柄な白人の男が同意した。
「全く何時までも国連だの連合だの大義名分に弱い。ああしたことは事前に我々で協議すべきだといつも言っているのに。どうしてそれがわからないのか」
「それが彼等が未だに外交慣れしていないということの証明でしょうね」
 浅黒い肌をしたアジア系の男がそれに対して言った。彼等はアメリカ、中国、ロシア、オーストラリアの各政府の要人達である。他にはASEAN各国やカナダ、メキシコといった北米の国もある。見ればかって環太平洋地域に位置していた国々ばかりである。
 連合には一つの特徴がある。百以上の構成国があるがその中心は決まっているということである。
 それは構成国の力関係である。旧環太平洋諸国とトルコやイスラエル等の国々とその他の構成国、旧中南米や旧アフリカの国々との間では大きな差があった。これは当初の宇宙進出技術の関係もあったが次第に当初の参加国と中途の参加国との差が表われはじめたのである。
 これは致し方のないことであった。最初から国力に差があった。しかも宇宙への進出も彼等が欧州を退けそこにアフリカや中南米の国々を入れてやったということもあり進出も環太平洋諸国が優先された。だがアフリカ諸国も中南米諸国もこれといって反論しなかった。
 それはやはり宇宙進出は彼等にも大きく開かれそれによって今までとは比較にならない程の豊かな生活が手に入ったからであった。現状の不満は多いにあったがそれよりも今の豊かな生活をより豊かにする方が先であった。
 しかも連合の方針は巧みであった。確かに求心力に乏しい中央政府であったがその政策はどうして中々巧みであった。連合各国は法的には全て平等としたのである。彼等の票もまた一票であった。
 結果としてそれが彼等の助けになった。旧環太平洋諸国も彼等の存在は無視できなかった。とりわけ中南米諸国に対しては結果的に彼等と同じだけの開拓地等の便宜を図らなくてはならない状況であった。
 そうした状況にあるので環太平洋諸国もお互いに微妙な関係であった。元々日米中露といった大国が突出していた地域である。だがASEAN諸国がそれを取り纏めるといった関係にありそれはさらに複雑であった。多くの政権交代がどの国でもあった
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