暁 〜小説投稿サイト〜
星河の覇皇
第二部第四章 二つの戦いその一
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

                二つの戦い
 ブーシルは緊迫した状況にあった。今この星系に戦乱が起ころうとしていたのだ。
 まずはブーシルに向けて進撃してきているサラーフの艦隊である。三個艦隊である。
 そしてこの地に潜伏しているハルドゥーン達と彼等に協力するサラーフの特殊部隊、いずれも厄介な相手であった。
「レジスタンスと特殊部隊は彼に任せるしかないな」
 アッディーンは司令室で提督達と話していた。
「はい、こうしたことは正規の部隊ではなかなかできませんから」
 そうなのであった。特殊部隊に対抗できるのは特殊部隊だけなのであった。
「我々は敵艦隊のことに専念すべきでしょうな」
 バヤズィトが言った。
「そうだな、今ここであれこれ言ってもはじまらない」
 アッディーンは彼の言葉に頷いた。
「とりあえず今はサラーフの艦隊を打ち破ることを考えよう」
「ハッ」
 こうして彼等は軍議をはじめた。

 その頃ハルヴィシーは下水道の中を進んでいた。 
 彼は漆黒のスーツに身を包んでいる。共にいる部下達も同じだ。
「そちらはどうだ」
 彼は隣の通路からやって来た部下達に対して問うた。
「いませんでした」
 彼等は首を横に振った。
「そうか、そちらにもいなかったか」
 彼はそれを聞き考え込む顔をした。
「こちらにもいなかったしな」
「上手く隠れているようですね」
 ウルドゥーンが言った。
「そうだな、ここは彼等の庭のようなものだしな」
「地の利は向こうにあります」
「そうだ、おそらくは我々が探し疲れるのを待っているのだろう」
 ハルヴィシーの言葉は彼等が今最も恐れていることであった。
「そしてそこで彼等は姿をあらわす。我々を消す為に」
「レジスタンスやゲリラの常套手段ですね」
「そうだ、そして隙を見せてもいけない」
 語るハルヴィシーの顔は普段のそれとは全く違っていた。
「隙を見せたら襲い掛かって来る。彼等は今も牙を研いでいる。この闇の中でな」
「・・・・・・・・・」
 皆その言葉に表情を張り詰めさせた。
「それを防ぐには彼等を倒すしかない。見つけ出してな」
「ですね。しかし何処にいるのやら」
「それだが」
 ハルヴィシーの目が光った。
「この下水道にいるのは間違いない。だがこの下水道は果たしてここだけにあるかということだ」
「といいますと!?」
 部下達は問うた。
「この街は古い歴史を持っているようだ。一度地震で崩壊しその上に新たに都市を建設している」
「この下水道の下にもう一つ街があるのですか」
「そういうことになる。彼等はそこに潜んでいる可能性がある」
 ハルヴィシーはそう言うと下を見た。
「その為にはそこに行く道を探し出す必要がある」
「ですね。しかし」
 彼等
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ