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星河の覇皇
第二部第三章 魔王その二
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 それを聞いたシャイターンの眉がピクリ、と動いた。サラーフと北方諸国の一部は国境を接しているのだ。
「あの国は西方で第一の勢力だが」
「今はそれも脅かされておりますな」
 ハルシークは言った。
「確かにな。今はオムダーマンの勢力が日増しに大きくなっている。今ブーシルで手こずっているようだが」
「ブーシルですか」
 ハルシークはそれを聞いて口の両端だけで笑った。
「閣下はブーシルについてどうお考えですか」
「あの星系でのレジスタンスとやらについて尋ねているのか」
「はい」
 彼は答えた。
「あのようなものすぐに鎮圧される。そしてサラーフの侵略も失敗に終わる」
「やはりそう見ておられますか」
「当然だ。最早ミドハドの命運は尽きている。今何をしようがそれは覆らない」
 彼はテーブルの上にグラスを置いた。そこに侍女が酒を注ぎ込む。
「ご苦労」
 彼はそれを見て侍女に言葉をかけた。
「そして近いうちにサラーフとオムダーマンの全面的な対決があるだろう。双方の戦力が均衡しているがな」
「どちらが勝つと思われますか」
「わからないな」
 シャイターンはその整った眉をピクリ、と歪めた。
「どちらが攻め込むかで事情が異なってくる。今までの経緯から察して先に兵を動かすのはサラーフだと思うが」
「でしょうな。カッサラのこともありますし今も現に兵を動かしています」
「それは撃退されるだろう。オムダーマンはそれから反撃に移る筈だ」
 彼はそう読んでいた。
「ですが地の利はサラーフにありますな」
「うむ、兵力がほぼ互角の場合これはかなり大きいな」
「長期戦になるかも知れませんぞ」
「それは双方にとっても避けたい事態だろうな」
 シャイターンは言った。
「国力を疲弊させてしまっては元も子もない。我々が付け入る隙は出来るだろうが」
「閣下は両国の戦闘が長期化するのをお望みですか?」
「まさか」
 それは否定した。
「いずれ私の領土となる地だ。疲弊させてしまっては意味がないではないな」
「そう言われると思っていました」
「相変わらず意地が悪いな」
「ふふふ」
 ハルシークは含み笑いを漏らした。
「短期決戦になってもらわなくてはな。そしてどちらか、恩をより多くくれる方につきたい」
「それでしたらオムダーマンでしょう」
「やはりそちらか」
 シャイターンはその言葉を予測していた。
「サラーフは守り抜けばいいのですがオムダーマンは完全に攻め落とさなければなりません。これは大きいです」
「我々がサラーフの後方から攻め込めばそれだけオムダーマンは楽になるな。向こうに割り当てられる兵力も減るし」
「はい、彼等にとっては一石二鳥の参戦になります」
 彼等は既にこの北方諸国は自らのものにあると考えていた。
「それで
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