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星河の覇皇
第二部第一章 策略その四
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いないか」
 彼はその地下に息を潜めていた。
「はい、今のところは」
 彼の支持者であるその小屋の持ち主が言った。彼はこの村の出身で軍では将校をしていた。同郷のよしみで彼に取り立てられ大佐まで昇進したのだ。軍を退いて暫くは故郷で静かに暮らしていたがハルドゥーンが失脚し故郷に帰って来ると彼を匿ったのだ。
「ですが私の身元も調べられているでしょう。ここにも長くは」
「それはわかっている」
 彼は低い声で言った。
「今も警戒は厳しいが特殊部隊が到着するとこの比ではないだろう。今のうちに場所を移した方がよいな」
「そうされるべきかと」
「うむ。同志達は今どうしている?」
 ハルドゥーンは尋ねた。
「各地に潜伏しております。それぞれ時を窺っております」
「そうか、ぬかりはないな」
「はい」
 彼は頷いた。
「ではここから去るとしよう。今まで世話になったな」
 彼はそう言うと席を立った。
「では私も」
 彼はそれに従おうとする。
「駄目だ。君には家族がいる」
「しかし」
 彼はそれでもついて行こうとする。
「家族がいる者を入れるわけにはいかない。君に何かあれば奥さんや子供さん達はどうなるのだ」
「それは・・・・・・」
 彼は今は農業を営んでいる。家の重要な働き手だ。
「わかってくれたか。君の気持ちは受け取ろう。私は君のご家族が哀しむのを見たくはないのだ」
「わかりました」
 彼はそれに従った。ハルドゥーンはそれを見届けると階段に足を入れた。
「ではな。機会があったらまた会おう」
「はい」
 こうしてハルドゥーンはその村を後にした。変装し村を一歩出るとその左右を男達が取り囲んだ。
「行くか」
「はい」
 彼等は車に乗った。そして山の方に向かった。
「よろしいのですか?」
 彼を左右から警護する男の一人が問うた。
「何がだ」
「彼を連れて行かなくて」
「よい」
 ハルドゥーンはそれに対して素っ気無い声で言った。
「家族がある者は入れてはならぬ。いざという時にそれが足枷になる」
「そうですか」
「そうだ。何も失う者でなければ手駒にはならぬ。下手な愛情に縛られぬからな」
「わかりました」
「ところでサラーフは何と言っておる」
「協力を約束してくれました。まずは武器の供給です」
「そして特殊部隊の増援か」
「はい」 
 サラーフ特殊部隊は諜報部隊から入った者が多い。その為諜報活動に秀でている。
「これで幾らかは粘ることができるな。そしてその間にサラーフ軍がやって来る」
「そして彼等にオムダーマン軍を倒させるというわけですな」
「そうだ、そしてミドハドから奴等を追い出してわしが主席に返り咲く」
「その後でサラーフも追い出すと」
「よくわかっておるな、その通りだ」
 ハルドゥー
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