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星河の覇皇
第二部第一章 策略その三
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ました」
 サルムーン大将はそう言うと退室した。八条はそれを見届けると電話を手にした。
「技術総監部へ」
 やがて技術総監部から誰かが出て来た。
「総監をお願いします」
 暫くして執務室に一人の男が入ってきた。
「只今参りました」
 少し浅黒いアジア系の痩せた四十代の男である。髪は黒く豊かである。顔も頬がこけ黒い目は知的な光を放っている。連合軍技術総監グエン=バン=チョム大将である。
 元々は軍人ではなく科学者であり技術者であった。大学院で工学の博士号をとった後ベトナムの兵器開発企業に入ったがそこで見込まれ軍にスカウトされた。そしてベトナム軍の技術将校となりそこで艦艇を主に開発していった。ベトナムの地理的状況に見事に適応した艦艇を積極的に開発しベトナム軍の兵器の発展に貢献した。連合軍設立にあたって彼の事を知る八条に招かれ技術総監となった。研究及び開発の為には寝食も忘れる程の熱心な男である。
「お待ちしていました」
 八条は席を立って彼を出迎えた。
「ではこちらへ」
 そして彼等は話をはじめた。国防省である八条は自身の椅子に座りチョムは机を挟んで彼と向かい合って立つ。
「艦艇の開発はどうなっていますか?」
 八条は率直に尋ねた。
「ハッ、まずは戦艦ですが」
 チョムは敬礼をした後答えた。
「索敵能力及びダメージコントロール、そして防御を重視した構造にしたいと考えております」
「宇宙海賊を重視してですか」
 八条は索敵及びダメージコントロールに注目して言った。
「そうです。彼等は何処から姿を現わすかわかりませんから」
 連合内における最大の脅威である。それは当然であった。
「巡洋艦も同じです。速度やワープ能力はこれまで通りですがやはり索敵やダメージコントロールを優先させた構造を計画しております」
「空母はどうなるのですか?」
「空母は艦載機の搭載を多くしたものにしていきます。今まではどの国の空母も多くて百機程でしたが二百機を考えております」
「それだとかなりの大型になりますね」
「はい。戦艦や巡洋艦もこれまでより大型なものにしていこうと考えております」
「火力はどうなるのですか?」
「火力も当然強化します。ただ空母は搭載を重視し正面に集中させます」
「ですね。空母の発着はどうしますか?」
「発着口を複数置きます。そこから十機単位で発着させます」
 それまで連合の多くの空母は後方に発着口を置き数機単位で発着していたのだ。
「砲艦やミサイル艦も同じです。大型化し火力と索敵能力、ダメージコントロールを強化していきます」
「駆逐艦もですね」
「当然です。そして各艦の速度を出来る限り統一させたいのですが」
「同時に行動できるようにですね」
「はい。そして補給艦及び揚陸艦の搭載量を増加させたいのですが」
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