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星河の覇皇
第一部第七章 壁と鉄槌その四
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の若さで大将というのは前代未聞のことであった。
「大したことではない、俺はただ戦いに勝っただけなのだからな。階級なぞ問題ではない」
「そうですか」
 彼等は司令官の落ち着いた様子に自らも落ち着きを取り戻した。そこにもう一つ通達が来た。今度はこの作戦の総司令官であるマナーマからだ。
「今度は何だろう」
 アッディーンはそれを受け取った。それはこれからの作戦行動であった。
「そうか、司令も気付かれていたか」
 彼はそれを読むと一言そう言った。そして艦橋にいる者達に対して言った。
「諸君、すぐにブーシルに向かうぞ」
「やはり」
 バヤズィトはそれを聞いて思わず言った。
「うむ。何やらあの星系で不穏な空気があるらしい。そして予想通り彼等も動こうとしている」
「サラーフですね」
「そうだ、連中は今ブーシルとの国境に集結中だという。一刻の猶予もならない」
「しかし今我等の艦隊は万全ではありませんよ」
 バヤズィトはいささか顔を暗くして言った。
「兵の三分の一がサルチェスやケルマーンにおります。それに物資の補給も必要です」
「我々の兵はすぐに交替させこちらに向かって来るそうだ。そして補給は今から至急行なわれるそうだ」
「またえらく急ですね」
「それだけ切羽詰っているのだろう。補給が済み次第すぐに向かうぞ」
「サルチェス等の兵は?」
「ブーシルで集結してくれとのことだ。とにかくすぐにあちらに向かってくれと言っておられる」
「そうですか。それでしたら」
「うむ。よし、全軍今から補給を受けるぞ、そしてそれが済み次第すぐにブーシルに向けて出撃だ!」
「ハッ!」
 こうしてアッディーンは大将になってすぐにブーシルへ向かうこととなった。そこにもやはり新たな戦いが待っていた。そして彼の戦いにまた彩りを加えることになるのであった。

第一部   完



              2004・4・27


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