第一部第七章 壁と鉄槌その四
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は避けられまい」
次々にビームやミサイルを放つ。そしてミドハド軍の艦艇を次々に沈めていく。
これを見てオムダーマン軍の主力部隊も元気付いた。守勢から攻勢に転じ混乱するミドハド軍に突撃する。
「よし、今だ!」
「進め、今こそ勝機だ!」
それに対し今度はミドハド軍が守勢に立たされた。次第に後ろに退こうとする。
だが後方にはアッディーンの部隊がいる。彼は攻撃の手を一切緩めず彼等の背を撃ち続ける。
やがて戦局は完全にオムダーマン軍のものとなった。彼等はミドハド軍を各地で寸断し各個撃破していった。
「これで決まりですな」
オムダーマンの司令部で参謀の一人がマナーマに対して言った。
「うむ、流石だな、アッディーン中将」
彼はアッディーンの名を呼んだ。事実この勝利は彼がもたらしたものだからだ。
ミドハド軍は包囲されようとしていた。だが彼等はそれから必死に逃れようとする。
「横だ、横に動け!」
司令が絶叫した。彼は挟み撃ちにされながらも逃げ道を咄嗟に見つけたのだ。
そこは側面であった。そこはバンプールに続く。彼はそこに目をつけたのだ。
「全軍退却だ、バンプールまで退くぞ!」
彼は指示を下した。そして自ら側面に飛び出た。
後の艦もそれに続く。そしてミドハド軍は何とかオムダーマン軍から逃れた。
オムダーマン軍はそれを追おうとしなかった。ただ彼等の逃げるに任せたのである。
「よろしいのですか?」
幕僚の一人がマナーマに対して問うた。
「いい。もう勝負はついた」
彼は謹厳な表情で言った。
「勝敗はついた。これ以上無益な損害を出すこともあるまい」
「ですがまだ首都での戦いが残っていますよ」
「首都か」
彼は一言、呟くように言った。
「もう陥落したも同然だがな。我々はこれ以上の戦闘はなくミドハドの首都に入城することになるだろう」
「果たしてそう上手くいきますか?」
幕僚達は皆首を傾げていた。
「必ずな」
彼は答えた。
「さて、軍を集結させよう。まだ残敵がいるかも知れないし捕虜の処遇もあるしな」
「はい」
「よし、全軍集結だ、そして次の作戦に対して備えるぞ!」
こうしてジャースク星系での戦いは終わった。参加兵力はオムダーマン軍約六〇〇万、艦艇六万隻、ミドハド軍は約七五〇万、艦艇七万五千隻であった。数に優るミドハド軍であったがオムダーマン軍の誘い込みと迅速な攻撃に対処しきれずこの戦いにおいても敗北した。兵力の三割以上を失いバンプールに退却することになったが最早士気も戦闘能力も絶望的なまでに落ちていた。それに対してオムダーマン軍は勝利により士気を高めただけでなく多量の物資も手に入れた。これにより彼等はミドハド軍の首都への進撃に向けて大きく動くこととなった。
「これでミドハドは我等の
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