暁 〜小説投稿サイト〜
星河の覇皇
第一部第七章 壁と鉄槌その三
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
ャースク星系に向かって落ち延びた。
 ケルマーン星系での戦いも終わった。参加兵力はオムダーマン軍百万、艦艇一万隻、ミドハド軍は百六十万、艦艇一万六千隻であった。隠密行動を取り奇襲を仕掛けたオムダーマン軍の勝利に終わりミドハド軍は撤退した。この勝利によりアッディーンの艦隊はジャースク星系にいる友軍の主力部隊と合流することが可能となった。
「今回も勝ちましたな」
「当然だがな」
 アッディーンはシンダントの言葉に自身に満ちた笑みを浮かべて応えた。
「だがこれで終わりじゃない」
「はい、すぐにジャースクに向かいましょう」
「そうだ。ところで捕虜達はどうしている?」
 彼はそのことに対して尋ねた。
「今はカジュールにある捕虜収容所に送られていますが」
「そうか」
 後方参謀であるバヤズィト大佐が答えた。少し太めの大男である。
「この戦いが終わったらそちらに向かうとしよう。一人会いたい男がいる」
「そうですか」
「うむ。だがそれにはまず勝たなくてはな」
「はい。次に戦いで決まりますね」
 皆ガルシャースプの言葉に対し頷いた。
「よし、捕虜の護送部隊の他は全艦ジャースクに向かうぞ。そして友軍と合流だ!」
「ハッ」
 皆その言葉に対して敬礼した。そして一路ジャースク星系に向かった。

 ケルマーンの戦いのことはすぐにジャースクにいる両軍の間にも伝わった。これにオムダーマンの将兵達は歓喜しミドハド軍は消沈した。
「そして我が軍はどうなった?」
「いまこちらに向かっております。合流する為に」
 ミドハド軍の旗艦の艦橋では司令と参謀達は深刻な顔で軍議を行なっていた。
「そうか。その数はどのくらいだ?」
「八十万程です」
「随分手酷く痛めつけられたな」
「はい。そしてオムダーマン軍もこちらに向かってきております」
「そうだろうな。敵将はアッディーン中将か」
「その通りです」
「うむ・・・・・・」
 司令はその白いものが混じった口髭に手を当てながら考えた。そして決断を下した。
「布陣する場所を変えよう。バンプール星系との境だ」
 バンプール星系とは首都であるジャーハバードの一個前の星系である。そのを越えれば首都である。最後の防衛線と言ってよい。
「いざという時はあの場所に逃れられるようにな。そしてあの地を背にすれば奇襲を仕掛けられることもあるまい」
「そうですね」
 参謀達はその言葉に頷いた。
「こちらに向かっている友軍と合流が済み次第陣を移す。そしてそこで戦うとしよう」
「了解」
 皆その言葉に対し敬礼した。そしてミドハド軍は陣を移した。
 アッディーンは友軍と合流を果たした。二度の戦いに大勝利を収めた若き名将の合流にオムダーマン軍は喜びの声に包まれた。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ