第八十八話 フォルカとアルティス
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第八十八話 フォルカとアルティス
「そうか、マグナスが倒れたか」
「・・・・・・はい」
アルコはミザルの前に片膝をつき報告していた。その顔が忌々しげに歪んでいる。
「残念なことに」
「惜しい男を亡くした」
こうは言うが感情は見られない。
「それはな」
「マグナスは惜しい男でした」
アルコもそれを言う。
「ミザル様にとっては右腕であったというのに」
「右腕!?」
しかしミザルはその言葉には冷たい笑みを浮かべてきた。
「あの男がわしの右腕か」
「違いますか?」
「わしの右腕はここにある」
こう言ってその冷たい笑みで己の右腕を左手でポン、と叩いてみせた。
「ここにな」
「な・・・・・・」
「何を驚くことがある?」
言葉を失ったアルコに平然と返す。
「我等は修羅だ」
「それは」
「では当然のことだ。修羅が戦いで倒れるのは道理」
「確かに」
それは否定できなかった。アルコもまた修羅なのだから。
「ではわかる筈だ。あの男が死んだのもな」
「左様ですか」
「それよりもだ。アルコ」
「はっ」
ミザルは何事もなかったようにアルコに対して言う。
「次の作戦だが」
「どうされますか?」
「アルティスだ」
今度は名前を出したのはアルティスだった。
「あの男だが」
「ではいよいよ」
「そろそろ邪魔になってきたな」
今度は残忍な笑みでの言葉になっていた。
「もうな。だからだ」
「はっ、わかりました」
「抜かるな」
このことを念押しすアルコだった。
「これが成功すれば貴様は」
「将軍ですね」
「そうだ。貴様が将軍だ」
アルコの誇りを煽るような言葉であった。
「楽しみにしていろ。いいな」
「わかりました。それでは」
「ではまた全軍に伝えよ」
こうもアルコに告げた。
「再びロンド=ベルに攻撃を仕掛けるとな」
「はっ」
こうしてまた戦いがはじまるのだった。修羅もまた退くつもりはなかった。その中に謀をも秘めようとも。それでも退きはしないのだった。
修羅がまた動きはじめた頃。ロンド=ベルもまた東に向かって進み続けていた。その行く先には今のところ敵は存在してはいなかった。
「とりあえずここまで順調だな」
「ええ」
サンダースがシローの言葉に応えていた。
「とりあえずは、ですが」
「だがまた出て来るだろうな」
「そうね」
今のシローの言葉にはアイナが答えた。
「残念だけれどね」
「敵も馬鹿じゃないか」
「ちぇっ、いつものことだけれどね」
ミケルがついつい舌打ちした。
「どうにもならないのかな」
「敵が出て来たら潰すだけじゃないか」
カレンはその点割り切っていた。
「それだけだろう?」
「確かに」
それに頷いたのはノリスだった。
「出て
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