第八十七話 貫く拳
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第八十七話 貫く拳
「ふむ、そうなったか」
「はい」
「その通りでございます」
ミザルの前にマグナスとアルコが控えていた。二人は先の戦いのことを全てミザルに対して報告しているのである。
「あ奴は向こうにつきました」
「愚かにも」
「何を考えておるのかわからんな」
ミザルはそこまで聞いてこう述べた。
「フェルナンドめもな」
「ですがミザル様」
ここでアルコが言う。
「これで向こうについた修羅は三人」
「うむ」
「無視できないものになったかと」
「ふん、大したことはない」
アルコの言葉にマグナスが述べた。
「あの程度の連中なぞ」
「しかしマグナスよ」
アルコは自信というよりは侮りが見られるそのマグナスに対して言う。
「只でさえ神化している者さえいるのだ。それに」
「俺も修羅の将軍」
彼の自信の根拠だった。
「あのような連中に負けはしない」
「マグナスよ」
話を聞いていたミザルがマグナスに声をかけてきた。
「はっ」
「まずは言っておく」
鋭い目で彼に述べる。
「油断はするな」
「油断ですか」
「そうだ。やはりあの者達は強い」
こういう意味ではフォルカ達を正当に見ていた。
「それは否定できないぞ」
「左様ですか」
「そのうえで伝えよう」
今度は声が鋭くなった。
「貴様にあの者達の征伐を命じる」
「はっ」
「そしてアルコよ」
続いてアルコにも声をかけた。
「貴様も共に行け」
「畏まりました」
「しかしだ」
ここでさらに言ってきた。
「アルティス達にも気をつけよ」
「アルティス達もですか」
「隙あらばだ」
それを聞いたアルコの表情が変わった。
「隙あらば?」
「わかるな」
これから先は言わなかった。
「そういうことだ」
「わかりました。それでは」
「わかったな。では行け」
「はっ」
こうして二人は兵を連れて出撃した。すぐにアルティスの軍とも合流しそのうえで戦場に向かう。アルコの目はじっとアルティスを見ていた。
「アルコよ」
「何だ?」
「これも我等の目的の為だな」
「そうだ」
静かにマグナスに答えた。
「貴様は貴様の仕事を行い」
「御前はそれをか」
「任せておけ。必ずやな」
ずっとアルティスを見ていた。彼を暗い炎が包んでいた。
ロンド=ベルもまた東に直進していた。その中でティス達は相変わらずバサラの曲を聴いていた。彼を守るようにして取り囲んでいる。
「何だよ、また御前等かよ」
「何だはないでしょ」
こうフォッカーに返したのはティスだった。
「ただ聴いてるだけなんだから」
「それはいいさ」
フォッカーもそれはいいと言う。
「別にな。まあ飲め」
「あっ、悪いわね」
「どうも」
三人に缶コーヒーを
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