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星河の覇皇
第一部第七章 壁と鉄槌その一
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「当然だろう。気にならない筈がない」
 彼は答えた。
「若し彼等がその兵をこちらに向けてきたらどうなる。ニーベルング要塞群が抜かれたとしたら」
「我々は窮地に陥りますね」
「そうだ。滅ぼされるだろうな」
「ですが彼等と我々が干戈を交えるにしても少し先のことになりそうですね」
「何故だ!?」
 モンサルヴァートはその言葉に対し問うた。
「今彼等は統一された兵制及び装備、システムの確立に必死です。とても外に目を向けられる状況ではありません」
「そうだったな」
 彼はその言葉に対し頷いた。
「それに彼等の中でも意見が分かれています。これまで通り開拓地を拡げていこうと主張する派と中央政府の権限を拡充させようと主張する派の二つに。どちらの意見が主流になるかで彼等の動きも変わりますよ。そしてそれから実際に動きを開始するでしょうし」
「エウロパの政党のようになっているのだな」
「はい」
 エウロパにおいては大小多くの政党が存在する。もっとも彼は軍人であるので政治のことを学んではいても積極的に関わろうとは思わない。選挙には行くが。
「政党政治が悪いは決して思わないが」
 彼は考え込みながら言った。
「やはり決定に時間がかかるというデメリットは否定できないな」
「それは一千年以上も前から言われておりますね」
「ああ。だが根本的な解決は一向に見られないな」
「ですが独裁政治なぞよりは遥かにいいでしょう。サハラの一部にまだ残っているような」
 サハラは群雄割拠の状況であり実際にそうした国もあるのだ。連合の中にもいささか強権的な国家元首がいないわけではないが彼等は独裁者ではない。
「我々も中央の権限はかなり強いがな」
「ですが独裁政治などではありませんよ」
「それはわかっている」
 彼は答えた。
「だが連合が我々に矛先を向けてきたら危険だぞ」
「まあニーベルング要塞群を粉砕しようとはするかも知れませんね」
「それだけで充分過ぎる程だがな」
「ですが結局それまででしょう」
 彼は静かな口調で言った。
「何故だ?」
「我々の領土は彼等にとってさして魅力的ではないからです」
 彼は冷徹ともとれる声で言った。
「我々の領土にあるものは全て彼等も持っています。個人所得こそは我々の方が多いですが」
「さして気にならないということか」
「確かに彼等と我々の対立は一千年に渡るものですがそれでも攻めるメリットがないのです。彼等は欲しいものがあれば開拓すればいいのですし。若しそれ以上のものが欲しいならば」
「サハラを攻めるか」
「そういうことです」
 ベルガンサは答えた。
「まとまっている我々を攻撃するより彼等を攻撃する方が容易ですしね。それに資源は彼等の方が遥かに持っておりますし」
 サハラは戦乱に明け暮れているが
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