暁 〜小説投稿サイト〜
アーチャー”が”憑依
二十三話
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聞いている。

「成るほど。家族を人質に、か」

 要約すると、彼女は家族を何者かに囚われ、麻帆良に侵入しネギ・スプリングフィールドと戦えと指示されたとのことだ。明日菜やのどか達は家族を人質にするという行為に怒りをあらわにしていたがネギとエヴァンジェリンは全く別の部分に目を向けていた。

「どう思う?」

「どうもこうも、怪しいにもほどがある」

 ネギの父は魔法使いの英雄だ。だが、英雄とは得てして賞賛と同時に恨みを買うもの。もし、アルトリアがネギの父ナギに恨みを持つ者にけしかけられたのだとしても、殺せではなく戦え、という指示を与えたのにはどうにも違和感をぬぐえない。

「厄介事の臭いがするな」

「全くだ」

 それでも、この子たちだけは守らなければならない。ネギは笑顔で話し合う少女たちを見つめ、そう思うのだった。




――――コツコツコツ

 男以外誰もいない礼拝堂に、乾いた足音が響く。男は右手に一抱えもある大きなケージを携え、外へと向かう。大きな扉を押し広げ、ケージの蓋を開け放つ。

「そら、お前はもう用済みだ。主の元へと帰るがいい」

 ケージが勢いよく飛び出し、夜の街を駆けて行ったのは一頭の子獅子だった。生まれた頃よりとある(・・・)少女と共にあり、その少女の唯一の家族だったものだ。

「獅子だけではなく、もっと家族(なかま)が欲しいという願い。確かに叶えたぞ。さぁ、次はいよいよ本番だ」

 男……言峰綺礼は再び教会の中へと戻って行く。もし、ここに誰かが居たら言っただろう。明りがなく、真っ暗な教会の中はどこまでも深い闇のようだったと。
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