二十三話
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格の持ち主とはいえ、面白くないと感じるのは普通のことだろう。
(何時か、私が……)
――――先生を、あんな笑顔にできたらいいな。
のどかは一人、胸の中で思いを秘めるのであった。
「足元への警戒が薄い!」
剣撃の合間に放たれた足払い。声で忠告されていたにも関わらずアルトリアは吸い込まれる様にしてそれを喰らってしまう。だが、無様に転げてなるものかと片手を地につけバク転の要領で体勢を立て直す。
だが、体勢を立て直すことを意識しすぎたため、今度は敵への警戒が薄まった。その隙を、ネギは見逃さない。
「敵から気をそらすな!」
アルトリアの脇腹へと吸い込まれる横薙ぎの一撃。峰打ちだったため、鈍い衝撃がアルトリアの体を駆け抜ける。数メートル吹き飛ばされた後、アルトリアは剣を杖とすることで何とか倒れるのを堪えていた。
「ハァッハァッ……」
体が重い。手に力が入らない。永遠とも感じた成長の連鎖。その代償は体力の枯渇という形でアルトリアの体をむしばんだ。最早、剣を振ることは難しいだろう。
「終わって、しまう?」
この楽しい時間が? アルトリアの頭を埋めるのはただそれだけ。まだ、終わりたくない。その強い思いが、アルトリアの枯渇し体力に僅かな潤いをもたらす。
「ネギ・スプリングフィールド」
「………………」
肩で息をしながらも、立ちあがって見せたアルトリアをネギは黙って見据える。
「これが、最後です。受けていただけますね?」
「ああ。全力で、来い!」
二人の体から魔力が吹き出す。この戦い一番の魔力の高まりだ。傍で見ていた明日菜等もこれで決着がつくのだと理解する。
「行きます!」
己が出来る最大の出力で魔力を放出し、ネギへと迫る。その速度はかなりのものだがネギの眼は確かにアルトリアを捕えている。それをアルトリアも察し、自然と笑みを浮かべた。
(やはり、彼は私の遥か上にいる!)
例え今敵わなくても構わない。自分の全力を、自分の全てを見て欲しい。そんな思いをのせて、アルトリアは全力の一撃をネギへと放った。
「私の負けですね……」
「ああ、私の勝利だ」
アルトリアの手には中ほどで断ち切られた西洋剣。最後の交錯の瞬間。ネギの持つ剣によって斬り飛ばされたのだ。
「しっかりしろ」
己の敗北を確認した途端に糸が切れたようにして倒れこむアルトリアを、ネギが支えた。意識は失っていないようだが、最早自分で立っていることもできないようだ。
「すみません。少し、夢中になり過ぎました」
既に戦いが終わり三十分程が経過していた。アルトリアは自分で立ち上がれる程度には回復しており、今は麻帆良に侵入した経緯を
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