暁 〜小説投稿サイト〜
アーチャー”が”憑依
二十三話
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「なに?」

 ネギは構える。アルトリアと全く同じ構えを。記憶にある彼女の太刀筋を、もう一度想い浮かべる。出来る。運のいいことにこの体は才能に満ちている。そう長くない時間なら何とかボロを出さずに演じきれるだろう。

「さぁ、行くぞ!」

 ネギは自身の持つ魔力量にものを言わせて強引に魔力放出を疑似再現する。アルトリアのものとは比べるべくもないほどに乱雑で、運用効率の面から見れば落第を貰うだろう。だが、それでも速さや力強さはアルトリアのそれと同等以上。ネギは手に持つ西洋剣を振り下ろす。

「っく!」

 力任せの魔力放出に面を喰らったものの、アルトリアはすぐさま剣を迎撃に向かわせる。

「おも、い!?」

 剣から伝わる衝撃は、アルトリアが今まで感じたことが無いほどに重かった。それでも負けじと魔力を放出し、ネギをはじき返す。そして、今度は自分からも仕掛けていく。
 その光景を目にした傍観者達は開いた口が塞がらなかった。同じ。そう、全く同じなのだ。二人の動きが。まるで合わせ鏡のように同じ動きで同じ剣撃を繰り出し続けている。
 だが、その光景もそう長くは続かなかった。アルトリアが、徐々に押され始めたのだ。それは技術の差。僅かに荒のあるアルトリアと、それがないネギの差。

「そら、その程度か!」

「まだ、まだぁ!」

 既にアルトリアの中には当初の目的など頭になかった。自分と同じ……いや、根幹は同じだが自分の更に一つ上をいくネギの剣技にアルトリアも魅了されたのだ。そして、戦い続ければ続けるほど、自分の腕が上がっているとも感じていた。そして、自分の腕の上昇に合わせて、相手もまた段階を上げていると。このまま戦い続ければ、どれほどの高みまで登っていけるのだろうか。
 アルトリアは先の見えぬ高まりに、ただただ心を躍らせていた。

「楽しそう」

 まず、戦う二人の変化に気付いたのは明日菜だった。彼女は持ち前の動体視力をもって彼らが笑みを浮かべていることに気付いたのだ。その顔、特にネギの方は今まで見たことが無い程に楽しそうであった。

「まあ、そうだろうな」

 何時の間に傍へと寄ってきていたのか。エヴァンジェリンが明日菜の呟きに言葉を返す。

「詳しくは言えんが、あのアルトリアとか言うのは奴の剣の師に瓜二つだ。その太刀筋もな」

「もしや、その先生の師は……」

「ああ。既に会うことが叶わぬ身だ。だからこそ、喜びもひとしおなんだろう」

 ネギがああまで楽しそうにする理由は分かった。だが、手放しに喜べないものもいる。

(何だか、悔しいな……)

 宮崎のどか。彼女はネギに対して淡い恋心を抱いている。それなのに、想い人は自分ではない女性とああも楽しくやっている。いくら穏やかな性
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