第一部第六章 疾風怒涛その二
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「ムッ、怯むな!」
数のうえでは互角である。敵艦隊の司令官は自軍を叱咤激励して戦わせる。彼は後方で指揮を執っていた。
「攻撃を一点に集中させよ!」
アッディーンは敵の動きの軸に攻撃を集中させた。全ての艦の攻撃がその地点に集まる。
幾千もの光の束がその地点にいる敵軍を撃った。そしてそこに巨大な穴が開いた。
「よし、突撃だっ!」
そしてその穴の中に突入する。彼は旗艦アリーを真っ先に突入させた。
指揮官のこの行動に全軍奮い立った。皆それに続き敵軍に雪崩れ込んだ。
「いかん、防御を固めよ!」
それに対し敵の司令は必死に体勢を整えようとする。
「空母だ、空母を出せ!」
それに従い本来は決戦用であった空母部隊がそこへ向かう。だが遅かった。
「空母を狙え!」
アッディーンの指示が下る。敵陣に踊りこんだ全艦は空母に襲い掛かった。
ミドハド軍の空母の攻撃射程は短い。防御も薄い。それはより多くの航宙機を搭載する為である。それが仇となった。
オムダーマン軍の砲撃が次々に炸裂する。ミドハド軍の空母はそれに耐え切れず爆発していった。
「司令、空母部隊が!」
参謀が叫ぶ。だがどうにもならない。空母はその数を瞬く間に減らし最早部隊といえる数ではなくなっていた。
突入した部隊がそのまま突き抜ける。そこに前面にいた部隊が広範囲に一斉射撃を仕掛ける。
内部を掻き回され混乱状態に陥っていたミドハド軍にこれに対する力はなかった。その砲撃で大きく数を減らした。無数の白い光が銀河を照らしそして消えていく。
そこに再び艦隊が突入する。今度は司令部に突撃する。
「旗艦を狙えっ!」
アッディーンの腕が振り下ろされる。それに従いオムダーマン軍はミサイルを放った。
そのミサイルが餓狼のように襲い掛かる。ミドハド軍の艦艇はそれを必死に逃れようとする。
「全艦退避行動に移れ!」
だが間に合わない。忽ち数艦にミサイルが命中する。そして真っ二つに別れ銀河に消えていく。
そして旗艦にも命中した。艦橋に衝撃が走る。
「総員退艦!」
司令の指示が下る。
「閣下もご一緒に!」
部下達が司令にも艦を脱出するよう言う。だが彼はそれに対し首を横に振った。
「私はいい。あと副司令はいるか」
「はい」
副司令が前に出てきた。彼はこれから退艦するところであったのだ。
「指揮権を君に移譲する。そして全艦に伝えてくれ」
「はい」
「降伏せよ、と」
「わかりました」
数分後ミドハド軍の旗艦は爆発した。そしてミドハド軍は降伏を伝えてきた。
「どうされますか?」
ガルシャースプは艦橋においてアッディーンに対して問うた。
「決まっている」
アッディーンはそれに対して微笑んで答えた。
「サハラの戦士は白旗に対しては攻
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