第二十話 触手
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ルーデルも???な表情をしている。そんな俺達をおかしそうに爺さんが見ている。
「隠してた? 何だそれ?」
「五年前から囲っていた女がかみさんにバレたらしい。相手の女は二十一ってことだ」
「二十一?」
周囲から声が上がった。二十一歳で五年前からって事は囲った時は十六歳かよ。そりゃ若いのが良いって気持ちは分かるけどよ、娘、いや下手すりゃ孫と間違われるぜ。周囲に隠してたってのもそれが理由だろうな、十六歳の娘を囲うなんて聞いたら皆怒るわ……。
十六歳か……、ワーグナーの頭領もやるもんだぜ。それにしてもこのジジイ、一体何処からそんな話を仕入れてくるんだ? 油断も隙もねえジジイだな。呆れて見ていると爺さんがまたケケケっと笑った。
「三歳になる娘が居るらしいな」
彼方此方から溜息が聞こえた。ワーグナーの頭領、オットセイ並みの絶倫ぶりだな。子供は七人じゃなくて八人か……。そんな事を考えていると爺さんが声を潜めて話してきた。嫌な予感がするぜ。
「そんでな、かみさんが酷く焼き餅やいてワーグナーの頭領は家に帰れねえそうだ」
なんてえか、もう溜息しか出ねえな。……アレ? あそこのかみさんは後妻だったよな。前のかみさんが亡くなって愛人の一人が本妻に納まった、そんな風に聞いたぞ、あれ何時だっけ……。
「爺さん、俺の記憶に間違いが無ければ今の奥さんが本妻に納まったのって五年前じゃなかったっけ……」
俺が恐る恐る問いかけると皆がギョッとした表情を浮かべた。
「そうかもしれないなあ」
爺さんはとぼけた表情でニヤニヤしている。笑いごっちゃねえだろう、そりゃ奥さんも怒るわ。自分を後妻に迎えといて十六歳を愛人かよ、面子丸潰れだぜ。また溜息が出た。
「それでワーグナーの頭領は何処に? 他の愛人の所?」
ルーデルが問いかけると爺さんが“うんにゃ”と言って首を横に振った。そしてニヤッと笑う。
「今回ばかりは他の愛人達も怒っちまってなあ……」
爺さんの言葉に皆頷いている。そりゃ怒るよな、普通。
「問題の愛人の所にも流石に行けなくて、今は艦で一人で暮らしているらしいわ」
「……」
「これまではな、一家の人間に間に入ってもらって丸く納めてきたんだが、今回ばかりは皆勘弁してくれと逃げ廻ってるらしい。いやあ、大変な騒ぎだよなあ、これは……」
ルーデルとウルマンを見た。二人とも呆れた様な表情をしている。……こんな話聞いていても仕方ねえな、仕事に戻るか……。
今日の俺達はリューデッツの事務所で仕事だ。親っさんは今応接室で人と会っている。新しく辺境に進出してきた企業の重役らしい。宜しくお願いします、そんなところだろうな。
俺達は今事務所の大部屋で電子新聞の記事を調べている。妙な記事、おかしな記事が無いかを調べているわけだ。俺がオーディン、ウル
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