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星河の覇皇
第一部第六章 疾風怒涛その一
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 情報参謀が頷いた。そこは今彼等がいる宙域から少し離れている。
「だが敵は今我等を倒さんと躍起になっている。敵軍に領内を進まれるの程軍人にとって忌まわしいものはないからな」
 彼は珍しく落ち着いた声で言った。
「今我等は攻めている。これは攻撃地点を自由に決められるということだ」
 今更のような話であった。それは戦争においての常識であった。
「そこで私は今回敵を誘き出すことにした」
「何処にですか?」
 アタチュルクが問うた。低く重い声である。
「サルチェス星系だ。あの場所で敵軍を倒す」
 彼は強い声でそう言い切った。
「敵はおそらく我等より多いだろう。だがそこで彼等を殲滅する。そして我が軍の主力の援護に向かう」
「簡単に言ってくれますね」
 それを聞いてムーアが苦笑しながら言った。
「こちらより数が多く、しかも敵地において敵を殲滅してですか。そうそう上手くいきなすかね」
「いく。必ずな」
 アッディーンはそれに対して自信に満ちた声で言った。
「その為の私の考えを今から諸君等に言いたい」
 そして彼は再び話しはじめた。
「まず兵を二手に分ける」
「兵力が劣勢なのにですか?」
 これには皆驚いた。
「話は最後まで聞くようにな。まずはサルチェスには主力部隊が向かう。これは私が率いる」
 彼は皆を宥めてから再び言った。
「主力は一万だ。これはそのままサルチェスに入り布陣する」
「そしてもう一つの部隊はどうするのですか?」
 コリームアが問うた。
「そこだ。サルチェス星系の後方には大規模な補給基地があるのは知っているな」
「はい」
 これは地図にもある。ミドハドにおいてもかなり大きな補給基地である。
「敵がサルチェスに入ったならすぐに別働隊はここに襲撃を仕掛ける。そうすれば敵は進退が窮まる」
「そして戦場に誘き出すということですね」
 ラシークが尋ねた。
「そうだ。そして別働隊は主力部隊と敵軍を挟撃する。それが今回の私の作戦だ」
「戦場は何処なのですか?」
「それだ」
 アッディーンはアタチュルクの質問に頬を緩ませて答えた。
「この場所を考えている」
 彼はそう言うとサルチェスの第五惑星を指し示した。
 そこは巨大な惑星であった。周辺にリングを形成している。これは太陽系にある土星と同じものだ。こうした惑星を土星型惑星と呼ぶ。
「このリングの外側に布陣する。恒星サルチェスを右に見てな」
「問題は敵が何処から来るか、ですね」
「前から来る」
 アッディーンはムーアに対して答えた。
「今敵はバルガ星系にいる。そこは今この惑星とは一直線に正対している形になっている」
「敵はまっすぐにこちらに向かって来ると考えて折られるのですな」
「そうだ。兵力は敵の方が多い。ならば数を頼りに攻めてくる筈
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