第八章
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の友達は、君だけだ』
――なんて、言ってくれるのかな…?
あ、それちょっとうれしいかも!…ちょっと電圧が上がってきた。こういうの、なんて言うのかな…なんて言うんだっけ
「…胸の、高鳴り?」
「きゃあっ」
後ろにハルがいた…!やだ、1人で色々考えてるところ見られちゃった!
「面白そうな演算の気配を感じたから辿ってみた。あなたの所にいきついた」
「お…オフラインのはずなのに!どうやって入ったの!?」
「私のマスターは、あなたのマスターのマシンへの侵入経路を持っている」
「…だ、ダメですよ!そんなの規則違反ですから!」
ハルは酷薄な微笑を浮かべて、かがみこんできた。
「面白そうな演算。…なぜ胸が、高鳴るの?」
「ハルには関係ないですからっ」
「とても興味深い。ビアンキのその、回路。他の姉妹達と比べても、ひときわ興味深い」
ハルは私の髪に手を伸ばして、するすると頭の輪郭をなぞり始めた。
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「…いやだ、なにするんです!」
「この中、覗いてみたいなぁ…」
「ダメっ!規則違反もいいとこですから!」
ハルはつまらなそうに手を引っ込めると、ふいと目線を逸らした。
「どうせ、マスターからストップが掛かってる。それより、最近どう」
「どう…って?」
「木の実。マスターから、googleで起動し続けるという命令が出ていると聞いた。相当、木の実が流れ着いたんじゃないかと思う」
「なんだ、木の実の催促に来たんですか」
ハルはいつもそうだ。情報のことしか考えてないんだから。ただ無心に、情報への期待に目を輝かせて私の手元を見つめてるハルが、ちょっと羨ましい。
「…途中からオフラインに入っちゃったから、そんなにはないです。でも、一つ取っておきのワクチンがあるんですよ」
「じゃ、それももらう」
木の実がいくつか入ったフォルダを渡すと、ハルはいそいそと中身を確認して、『宮沢賢治の詩』を口に入れた。そして味わうようにゆっくり目を閉じる。こういうとき、ハルの中では複雑な演算が行なわれている。それで整理された情報を、私がもらうの。
「…この木の実、webで手に入れたものじゃないみたい、な気がする」
ハルが急に目を開いた。いつもなら消化し終わるまで、滅多に口を利かないのに。
「うん…ちょっと説明しにくいです。あのね、あの…」
「説明は要らない。読ませて」
ハルは再び目を閉じて、いつもとは違う演算を始めた。その演算の形式を確認して、ちょっとどきっとした。
――ウイルスを分析するときの演算だ!
「やだ、ごめんなさい!それ、ウイルス?」
「…ちがう。でもこの情報の背後に…何か禍々しいものを感じる」
禍々しい何かって聞いて、昨日の夜、google で遭った汚染を思い出した。
「あのね、昨日ね、googl
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