とある自由惑星同盟転生者の話 その5
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
<スプレイン>
あの巫山戯《ふざけ》た演説から約2週間後、イゼルローンに帝国の侵攻部隊が押し寄せてきた。
ナトルプ上級大将を総司令官とした帝国軍は4個艦隊55000隻。
要塞に駐留する第十三艦隊15000の4倍近い数だ。
イゼルローン要塞の攻略において動員した艦艇数で過去最大なのは第五次イゼルローン攻防戦における同盟軍の50000隻だが、その記録は今回更新されることになる。
しかし、俺はこれが陽動にすぎないということを確信している。
間違い無く、帝国軍はフェザーン方面より大挙して押し寄せてくるだろう。
そして、それを止める手立ては無い。
帝国には今イゼルローンに侵攻している部隊を除いてもまだ20万隻以上の戦力が有るが、同盟は第十三艦隊を除けばパエッタ中将の第一艦隊15000隻に俺の第十二艦隊12000隻、それとビュコック司令長官直属の5000隻。
全て合わせても32000隻しかない。
無理やり掻き集めればさらに20000隻ぐらいは集まるかもしれんが……。
それでも帝国軍の4分の1にも満たない。
* * *
宇宙暦799年1月1日、帝国軍によるフェザーン占領の報が入り、俺を含む各艦隊司令官は統合作戦本部に集められた。
第十二艦隊司令官の俺に、第一艦隊司令官パエッタ中将、新規に編成された第十四艦隊司令官モートン中将、第十五艦隊司令官カールセン中将。
まさかこの面子の中に俺が加わる日が来ようとは……。
ドーソン元帥への挨拶を済ませた後、俺たちは会議室で作戦会議を始めた。
「この際、正面から決戦を挑むのではなく、ゲリラ戦に終始して敵の補給路を叩いてはどうでしょうか?」
「うむ、その言は正しい。じゃが………」
「敵はガイエスブルグ要塞に推進装置を付け、移動拠点として使用しているようです。要塞だけで全ての補給を賄うのは難しいかもしれませんが、そのままハイネセンを突ける程度の余裕はあると考えられます」
敵はあのガイエスブルクを補給基地として使っているのか……。
上手いやり方だ。
おそらく、敵の総数は20万隻を超えるだろう。
ガイエスブルクだけでそれだけの補給を賄えるとは思えないが、艦艇数に余裕がある分補給船団の護衛は厚くなるだろう。
それに、こちらも52000隻もの数でゲリラ戦をするのはさすがに無理があるから襲撃部隊を1個艦隊程度まで減らさざるを得ない。
だがそうすると敵の護衛部隊に阻まれる……か。
ゲリラ戦は無理そうだな。
* * *
宇宙暦799年/帝国暦490年2月7日12時40分、帝国軍の位置に関する情報がこちらにもたらされた。
帝国軍の総数は15万隻を超え、11個艦隊が縦列に展開しつつ第二惑星の軌道をか
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ