第一部第五章 電撃作戦その三
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。ハルドゥーンはそれを聞き静かに言った。
「どうしますか?」
「決まっている、迎え撃つ」
官僚の言葉に答えた。
「すぐにカッサラ方面に六個艦隊を向けよ。ビスクラ星系で迎え撃て」
「ハッ」
ビスクラ星系はミドハドの地理上において最も重要な地である。この星系からミドハドの首都ハルツームにまでほぼ一直線に行くことも出来、各星系に睨みを利かすことも出来る。この地を押さえられることはミドハドにとっても危機を意味する。
「カジュールから来る敵に対しては如何致しましょう」
「カジュールからか」
先のカジュール侵攻はオムダーマンのあまりにも迅速な動きの前に手を打てなかった。その為今二方向から攻められる事態に陥っているのだ。今度は何としても防がなければならない。
「あちらには二個艦隊を向けよ」
「二個ですか?」
「そうだ」
ハルドゥーンは答えた。
「まずカジュール方面を叩いたならばすぐにビスクラに向かうよう指示しろ。そしてあの地でオムダーマン軍を倒す」
「わかりました」
官僚はその言葉に対し頷いた。
「一個艦隊は予備戦力としてビスクラ後方に置いておけ。そして残る艦隊は首都の防衛だ」
「わかりました」
「数では負けてはいない。落ち着いて対処すればどうということはない」
「そうですね」
実はこの官僚は侵攻にいささか動揺していた。しかし彼の言葉により落ち着きを取り戻した。
「ではすぐに各艦隊に伝えよ。そして吉報を待っている、とな」
「わかりました」
官僚はそう言うとその場をあとにした。ハルドゥーンは部屋に一人となった。
「さて、と」
彼は厳しい顔になった。
「上手くやってくれればいいが」
彼は壁に映るホノグラフィーの地図を見ながら呟いた。実は彼は軍事のことにはあまり明るくはないのである。
オムダーマンとミドハドの戦いははじまった。今は両軍共互いに兵を進める段階であった。
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