暁 〜小説投稿サイト〜
星河の覇皇
第一部第五章 電撃作戦その三
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
潰した顔をした。
「私とて自分のやらなければならない仕事はわかっている。だがやはり好き嫌いはある」
「好き嫌いなど言えないのではないですか?」
 ベルガンサは笑みをたたえたまま言った。
「閣下の双肩には多くの者の命がかかっているのですから」
「確かにな」
 モンサルヴァートはその言葉に頷いた。
「仕事の好き嫌いなど言える身分ではないか」
「厳しいことを言えばそうですね」
「はっきりと言ってくれたな」
「閣下は的確かつ迅速なことを尊ばれるので」
「そうだが」
 しかしにこやかな顔をして言いにくいことを言う、モンサルヴァートはそう思った。
「それにしても今日は書類がやけに多いな」
「先の戦いのぶんがありますからね」
「そして次の作戦のぶんもか?」
「そうです」
「・・・・・・やれやれ」
 モンサルヴァートは嘆息をついた。
「だがこの苦労も勝利によって報われるようにしたいな」
「同感です」
「それには君の協力が必要だ」
 モンサルヴァートはベルガンサを見て言った。
「そして閣下の健闘も」
「それは任せておいてくれ」
 彼はそう言うとこの日はじめて笑った。そして彼に話した。
「ところでサハラの西が最近何かと騒がしいな」
「はい。オムダーマンが勢力を伸ばしていますね」
「今まではそんなに大きな勢力ではなかったがな」
「サハラの西方で第三勢力でしたね」
「うむ」
 東方は別にしてサハラは多くの勢力に分かれている。その中でオムダーマンは大きい方であったがそれでもエウロパから見れば小勢力に過ぎない。
「今のところは特に警戒する必要もないだろうな」
「はい、例えミドハドに勝てたとしてもサラーフもありますし」
「そうだな、それにミドハドとの戦いが長引けばサラーフも動くだろう」
 エウロパとサラーフは直接国境を接しているわけではない。間に数ヶ国存在する。だがサラーフの存在は意識している。
「まあ今は様子見ということですか」
 ベルガンサは言った。
「そうだな。ただ」
 モンサルヴァートはここで考える目をした。
「あのアッディーンという男だが」
「はい」
「興味があるな。これからの戦いでどうなるかはわからんが」
 彼は言葉を続けた。
「はい、もしかするとサハラを大きく変えるかも知れませんね」
「それは我々にとっては不都合だがな」
 モンサルヴァートは笑ってそう言った。なおベルガンサの言葉は近い将来に的中することになる。だがこの時神ならぬ二人はそのことを知るよしもなかったのである。

 オムダーマン軍はミドハド領内に侵攻していた。主力である五個艦隊はカッサラ星系から進撃しアッディーン率いる艦隊はカジュール星系から進撃していた。
「来たか」 
 その報告はミドハド政府にもすぐさま伝わった
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ