第一部第五章 電撃作戦その三
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る。彼もまた艦隊司令の一人でルチアーノ=ステファーノという。勇猛果敢な人物として知られている。
「アクバル=アッディーンか?確かまだ二十代という話だが」
「ああ。だがその作戦指揮はかなりのものだという。カッサラ星系の戦いは聞いているな」
「オムダーマンが敗北の一歩手前から盛り返した戦いだな」
「そうだ、その盛り返すもとを作ったのがそのアッディーンという男だ」
「ほお、巡洋艦一隻で敵の正面に行きその進撃を止めたのはその男だったか」
クライストは眉を上げた。
「そうだ、それから瞬く間に昇進し今や中将だ。そして今度はミドハド侵攻に参加するらしい」
「ほう、ミドハドにもか」
「そう、先に併合したカジャールから攻める艦隊の司令官だそうだ」
「カジャールか。あの進撃は見事だったな」
クライストは感嘆の言葉を漏らした。
「二つの要塞を抜き首都を電撃的に陥としたからな。あれば見事だった」
「そして今度はミドハドとの決戦か。これは楽しみだな」
「うむ」
そして二人はそれぞれの艦隊の司令部に戻っていった。
モンサルヴァートは司令室で一人書類に整理にあたっていた。艦隊司令ともなればその決裁をあおぐ書類も膨大なものとなる。
「ふう」
彼は一枚の書類にサインをし終え嘆息をついた。
「どうもこういう仕事は好きにはなれないな」
彼はデスクワークはあまり好きではない。
「司令、仕事は終わりましたか?」
そこにエウロパの軍服に身を包んだ一人の青年が入ってきた。
「貴官か」
モンサルヴァートはその若者の姿を認めて言った。
「もうすぐ終わるところだ」
「それは何よりです」
若者は微笑んでそう言った。
「しかしな」
モンサルヴァートは顔を顰めて言った。
「こうしたデスクワークは私より貴官の方が得意だと思うのだがな」
「まあ私はそれが専門ですからね」
彼は笑顔のままで言った。
彼は後方参謀である。階級は大佐、二十代にしてこの地位にあるのは彼がこのサハラ北部で果たしてきた多大な貢献による。
彼の名はプラシド=ベルガンサ。士官学校を優秀な成績で卒業し軍に入った。赤い髪と蒼い瞳で有名な美男子である。
彼の能力は補給の運営及び管理にあった。それによりサハラにおけるエウロパの軍事行動はこれまで以上に迅速かつ的確に動けるようになっていたのだ。
彼はその時に何がどれだけいるか、常に的確に把握しちえた。そしてそれに合わせて補給を行なう。その為のシステムも整備していたのだ。
『サハラのエウロパ軍はベルガンサにより支えられている』
とも評される。彼はこの地のエウロパ軍にとって欠かせぬ存在であった。
「しかし私の仕事はもう終わってますよ。あとは閣下のぶんだけです」
「さらりと言ってくれるな」
彼は苦虫を噛み
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