第3次ティアマト会戦(6)
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▽前回までのあらすじ
ラインハルトによる遊撃によって、第4艦隊が撃破された。後背のラインハルト艦隊、前方のミュッケンベルガー艦隊によって窮地に陥る同盟軍第5艦隊。
第3次ティアマト会戦の、最終幕。
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第3次ティアマト会戦(6)
叩き付けたヘルメットが、壁にぶつかって大きな音を立てた。投げつけたオリビエ・ポプランは憤怒やるかたないと言った様子で、続けて壁を殴りつける。彼を苛立たせている要因は一つではなかっただろう。
ポプランがイワン・コーネフのために敵を一手に引き受けたのは数時間も前の話であった。ポプランは見事6機を撃墜し、十分な時間を稼ぐことに成功したのである。彼の前から敵戦闘艇部隊が撤退し、彼自身もまた同盟軍艦隊に引き返した。彼が補給のために帰還したのは元いた第5艦隊ではない。既に戦端が開かれていたため、彼はもっとも近くにいた第4艦隊の空母に着艦したのである。
彼にしてみれば、戦闘により近い位置で戦闘にいち早く参加したいという思いもあったろう。6機の敵を沈めたとしても、部下を殺された憤りは収まっていなかったのである。
そして彼が食堂で軽食をとっている時、ミューゼル艦隊の突撃は起きた。
ポプランもまた、猛烈な艦の揺れがいったい何によるものかを瞬時には理解しえなかった。それほどでたらめに乱暴な震動だったのである。だが彼は慌ててかけよった肉視窓からすぐに状況を理解した。突入を開始した敵艦隊が、跳躍《ワープ》による時空震を攪乱手段として用いたということをである。
食べかけのサンドイッチを口に詰め込み、ポプランは愛機の元へ走った。彼の乗った空母は艦体の制御を一時的に失って、警報のサイレンがけたたまく鳴っていたが、それと同じ音が彼の頭の中でも鳴り響いていたのである。彼は確信していた。この混乱を敵艦隊が見逃すはずはない、と。
宇宙船は周りを真空で囲まれているため、外の音が届くことはない。だが、一際大きな光が窓を照らしたのを見て、ポプランは予想を確信を深めた。
エネルギーと弾薬の補填が80%の段階で、ポプランは発艦を要請。敵艦隊が攻め込まれ混乱極まる状況下で、管制は的確に発艦指示を出した。ポプランが発艦した4分後、その空母は撃沈をされた。
そしてまともな指揮系統が回復することもなく、ラインハルト艦隊に第4艦隊は強行突破をされたのだった。
まさに乱戦、しかも一方的に同盟軍艦隊だけが強いられた乱戦であった。ラインハルトの指揮系統を重点的に狙うという戦術もまた、これに拍車をかけていた。
そんな中、ポプランは個人の技量で殺戮の嵐を切り抜けた。帝国軍のワルキューレや宙雷艇を10隻以上撃破したのである。小回りの利くス
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