第3次ティアマト会戦(6)
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のがなかなか骨が折れましてな。最後は力業でしたよ」
「さすが猛将の誉れ高いウランフ中将と言ったところか」
ビュコックは疲れた笑みを浮かべた。
ウランフはその中に、憂いを見出した。
「何か、気になることでも?」
ビュコックは一度、視線を外した。目をやったのは、手元にある暫定戦闘詳報であった。ビュコックはそれをウランフに手渡す。
頷いて捲ろうとしたウランフに、ビュコックは問いかけた。
「フロル・リシャール准将に、敗退した第4艦隊の再編成を指示したのは知っておるか」
ウランフはまた視線をビュコックに戻した。
「ええ、抜《・》かれたにしては被害が少ないとはいえ、あの短時間で残存部隊を再編成したそうで。その手腕はなかなかのものですな。あの忌まわしいパストーレは生き延びたそうですが、フィッシャー准将が見つからないそうで」
「うむ、良い指揮官たりえる男じゃったのだが、捜索班からの連絡は、まだない」
「生きていれば、いいのですが」
ビュコックは重々しく頷いた。
それも大きな憂いの一つだった。
また同盟軍は、将来有望な准将クラスの人材を失った。
そして、ビュコックにとって最も信頼に足るはずだった男も……。
「なぜ、命令を無視したのか……」
ビュコックのその呟きは、ウランフに届くこともなく、リオ・グランデの艦橋に消えた。
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