第一部第五章 電撃作戦その二
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をかけている。その目は知的な光をたたえている。
「平面写真とはまた古風だな」
ラフネールはその写真を見て苦笑いを浮かべた。
「申し訳ありません」
補佐官は頭を垂れた。
「謝る必要はない。こういった写真はこちらのほうが見易いしな」
彼はそう言うと写真を受け取った。
「こちらの女性がキリ=ト=マウイか」
「はい、ニュージーランド出身の保守政治家です」
「保守系か。一体どういう経歴かね」
「はい、ニュージーランドの法学校を卒業後とあるベンチャー企業を経営していましたがそこで政治家の夫と知り合い結婚、そして彼に影響を受け政界に入ったのです」
「だが彼女は連合議会の議員になったのだね。夫はニュージーランドの議員だったのに」
「それが彼女の一風変わったところです。どうも中央議会に理想を求めたようです」
「あの中央議会にか。確かに変わっているな」
連合の中央議会といえば大国の利害の衝突の場である。それはエウロパにおいてもよく知られていた。
「法学校を卒業してすぐにベンチャー企業の経営を始める程ですからね。そして彼女は今は保守派の指導的な役割を任ずるようになっております」
「どういう経緯でだね?」
ラフネールは再び尋ねた。
「あの連合軍の設立以降連合の在り方について議論が起こっておりまして」
「それは知っている」
「その中でとある総合雑誌に論文を発表したのです。連合はどうあるべきかという論題で」
「そして彼女はこのままでよい、と主張したのだね」
「そうです。そしてそれに反論したのが」
「このランティール=モハマドだね」
ラフネールはここでもう一枚の写真に映る男を見た。
「彼はマレーシアの首相だったな」
「はい、ついこの前まで」
「かなりのやり手だったと聞くがな。あのアメリカや中国に対して一歩も引かなかったとか」
「連合一の寝業師とも呼ばれていましたな。日本に対して良いことを言いながらも牽制を忘れなかったりと」
「まあそうでなくてはあの連中を相手にはできないな」
アメリカや中国、日本とマレーシアの国力差はかなりのものである。
「連合軍の参加にも最後まで最も強硬に反対していたそうじゃないか」
連合軍の参加には反対していたのはアメリカや中国、ロシアだけではなかったのである。マレーシアは反対する国々の中でも特に連合軍の設立及び参加に強い反対の意見を主張し続けていた。
「それも外交上のテクニックだったというわけか」
「そうです。それで自国の意見と存在を連合の各国に誇示したのです」
「煮ても焼いても食えないな。そんな男は今まで聞いたことがない」
「イギリスには結構いそうですがな」
ラフネールもこの補佐官もフランス出身である。両国の微妙な関係は今だに続いている。
「フフフ、確かにな。まあ我がフラ
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