第一部第五章 電撃作戦その二
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していた。連合軍の設立で連合の中央集権を止め、あとは既存路線でいくべきだと主張した。
それに対して内部を固めるべきであると主張する者達は連合派と呼ばれた。彼等は今のところは開拓を控え連合内部の整備を行い中央の権限をより強化すべきであると主張した。
彼等の主張は連合全体を包んだ。そしてそれは先の連合軍設立の時よりも更に大きなうねりとなっていったのである。
「さて、面白くなってきたな」
キロモトは新聞でその話を読みながら言った。
「連合の国を越えた話になっている。違う国の人間の間でも議論になっているな」
「はい、彼等は選挙においてもそれを争点としているようです」
「ほう、選挙においてもか」
「そうです。今やそれぞれ二つの派に分かれて議論をしているところです」
「ふむ、政党が出来るかも知れんな」
キロモトはそう言ってニヤリ、と笑った。
「政党、ですか」
「そうだ。今までこの連合では中心にはなかったものだ」
連合においては各国にはそれぞれ政党が存在していたが中央にはなかった。これも連合の強い地域性の特色であった。
「だがそれが出来るとなるとどうなる」
「連合の中の目が中央により一層集まりますね」
秘書官は言った。
「そうだ。我々もようやく力を持つ中央政府を持つ事が出来るのだ」
「エウロパのようにですか?」
「ふむ、エウロパか」
キロモトは秘書官の言葉に対し思わせぶりに笑った。
「少し違うな。我々はあそこまで中央が強くなる必要はない」
エウロパにも各国政府があるが元首だけがいる事実上の象徴であり連合のようにそれぞれが強い権限を持っているわけではない。
「エウロパはエウロパ、我々は我々だ。意識する必要もないだろう」
「そうですか」
「ただし、ある程度は参考にすべきかも知れんがな」
やがて朝食を知らせるベルが鳴った。キロモトは秘書官と共食事に向かった。
連合のこの動きはエウロパにも伝わっていた。ラフネールはそれを執務室で聞いた。
「彼等が中央に政党を持つようになるとはな」
彼はそれを聞くと静かな声で言った。
「まだそうなると決まったわけでは・・・・・・」
それを伝えた補佐官は少し眉に陰を落としていた。
「いや、これは時代の流れだ。彼等は必ずや中央に政党を持つようになるだろう」
「そうなるでしょうか」
「なる。時代の流れだけでなく強力な指導者も出てきているしな」
「この二人ですね」
補佐官はそう言うと持っていたファイルから二枚の写真を取り出した。
それは二人の人物のそれぞれの顔写真であった。一人は若い白人の女である。白人といっても何処かポリネシア系が混ざっている。髪は茶色がかった金色であり瞳は黒い。
もう一人はアジア系の男である。肌は黒めであり全体的にやや四角く眼鏡
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