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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』
第十四話
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? じゃあ男一人追加で」
黒河軍曹の言葉に伊丹はそう言って新たに男を一人選んで五人の捕虜を獲得した。
そして五人の捕虜は歩兵第二八連隊が乗ってきた九四式六輪自動貨車に乗せられる。全員が乗った事を確認した健軍は自動貨車を出させた。
第一戦車連隊と歩兵第二八連隊は次々と去っていく。住民達も帽子や手を振りアルヌスへ帰還する派遣部隊に声援を送る。なお、健軍大佐も九七式司令部偵察機で離陸して帰還の途についた。
「さて俺達も帰るとするか」
伊丹の言葉に皆が頷いた。樹はハミルトンに近づく。
「すいませんけど、自分達の国の話はまた今度で」
「あ、はい。異世界の国の話はとても新鮮でした」
普通に別れの言葉を言っている樹とハミルトンを自動貨車の中からロゥリィとヒルダがじぃっと見ていた。
「……こりゃ帰ったら中尉も地獄を見せられるな」
「だな」
片瀬の言葉に水野は笑う。
そして第三偵察隊はイタリカの街を後にするのであった。
……と思ったはずであった。
「何て事をしてくれたんだッ!!」
ピニャは怒り狂い、到着したボーゼスに持っていた銀製酒杯を投げる。
勿論酒杯はボーゼスの右眉を傷つけて血を噴き出させる。
その一方で、ボーゼスはピニャの怒号で完全に竦み上がっていた。
「イタミ殿ッ!! セッツ殿ッ!!」
壁に寄り掛かるように気絶している伊丹と樹にハミルトンは声をかける。二人は顔中赤く腫れていて、服も泥まみれの擦り傷だらけだった。
「姫様、二人とも相当に消耗されています。直ぐにでも休ませませんと」
「分かった。そこのメイド達と協力して二人を運べ」
「はい」
ハミルトンとメイド達は二人の手を自分の肩に回して急いで退出する。
「ひ、姫様。我々は一体何をしたと言うのですか?」
ショックで座り込んでいたボーゼスの額に手巾を当てていたパナシュはそう説明を求めた。
「……はぁ、今から説明する」
ピニャは額に手を当て、溜め息を吐くと二人に説明をした。
ボーゼスとパナシュはイタリカへ向かう最中に第三偵察隊と遭遇、兵士がアルヌスへ帰る途中と説明するとボーゼスは敵だと判断して第三偵察隊を攻撃しようとするが、それを聞いた樹と伊丹がボーゼス達に訳を説明しようとするが、初陣であるボーゼス達は聞く耳を持たずにピニャへの手土産として樹と伊丹を捕らえた。
隊員達は小銃を構えるが伊丹が「今は逃げろッ!!」と叫び、隊員達も渋々と自動貨車等を発進させあっという間に姿を消した。
そしてそこに残されたのはボーゼス達と樹達であった。
「……どうしたらいいんだ……」
ピニャは深い溜め息を吐いた。しか
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