第一部第五章 電撃作戦その一
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「そうですか。ではカッサラから攻める我が軍にはかなりの戦力を向けてくるでしょうね」
「おそらく七個か八個だろう。一個は首都防衛だからな」
「向こうには地の利もあります。これはかなりリスクの高い戦いですね」
「そうだ、しかし今やらねば我々にとってより危険な状況になる。それだけは避けなければならん」
「そうですね。では素早く作戦を進めるとしましょう」
「うむ、頼むぞ」
こうして二人は電話を切った。それから暫くしてオムダーマンは軍を動かした。そしてカッサラ星系から六個艦隊、カジュールからアッディーン率いる艦隊をミドハド領内へ侵攻させた。こうしてオムダーマンとミドハドの決戦の幕が開いた。
先日行なわれた米中露の選挙においては連合軍への参加が争点であった。結果は参加賛成派が勝利を収め三国の軍は連合軍に参加することが決定した。
そして態度を決めかねていた他の国々もそれに賛成した。こうして連合の全ての国の軍隊は連合軍に編入されることとなったのである。
「これで中央政府は絶対的な力を手に入れたな」
白亜の宮殿の奥深くにある執務室から声が聞こえてきた。
「そうですね、おそらくこれまでとは比較にならない程の発言力を持つことになるでしょう」
豪奢な机の前に立つ若い男が目の前に座る人物に対して話していた。
「我が国の連合内での発言力の低下は避けられないかと」
「それは承知のうえだ。しかし連合軍に参加しなくては我々は孤立してしまうからな」
若い男に向かい合って座るその男は低い声で言った。
金髪碧眼の黒人である。背は座っていてもわかる程の長身である。肌は褐色だがその顔立ちは白人のものに近い。鼻が高く唇は薄い。彼の名をヘンリー=マックリーフという。先の選挙でアメリカ合衆国の大統領に選ばれた人物である。
農業の盛んなことで知られる星系の中流家庭に生まれた。幼い頃から頭がよく大学では法律を学んだ。そして弁護士となり辣腕を振るった。それを当時の改革派政党の党首に見出され政治家となった。彼の下で副大統領を務めた後大統領選に出馬したがこの時は敗れた。しかし今回の選挙で勝利を収め大統領となった。行動力に溢れた人物として知られている。
「それに我々は軍を失ったわけではないぞ」
「国軍ですか」
「そうだ」
マックリーフは答えた。
国軍というのは中央軍とは別にそれぞれの国が持つことを認められた軍隊である。地球にあった頃のアメリカの州軍のような存在であり小規模ながらそれぞれの国の治安を守ることを目的として保有が認められている軍である。当然中央軍に比べて規模も装備も微々たるものでありいわば予備戦力である。
「ですがそんな大した存在ではないですね。ないよりましという程度で」
「確かにな。だがないよりはましだ」
マックリーフは無機質な調
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