第七十一話 三人の子供
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第七十一話 三人の子供
「ティス、デスピニス」
暗い玄室の中で。ラリアーは二人に声をかけていた。
「ちょっといいかい?」
「何よ」
「どうかしらの?ラリアー」
「この前の戦いのことだけれど」
先のバグダットでの戦いのことを二人に対して言うのだった。
「どう思うかな」
「どう思うって言われても」
「何のことなの?」
二人はまだラリアーの言いたいことはわからない。それで言葉に疑問符をつけることになった。
「あの赤いマシンのことなら」
「フォルカさんのことはわからないわ、御免なさい」
「確かにあの人のことも気になる」
ラリアーは二人の言葉に対して頷いた。
「どうなるのか。それよりも」
「それよりも!?」
「もっと重大なことがあるのね」
「うん。あの二機のマシン」
ラリアーは言う。
「気になるんだ」
「ひょっとしてそれって」
「あの兄妹のことなのね」
「うん、実はそうなんだ」
また二人に対して頷いてみせる。
「ラウル=グレーデンとフィオナ=グレーデンだったかな」
「そんな名前のパイロットだったの」
「やっぱり兄妹なのね、あの人達」
「そうだよ。そして」
ラリアーは言葉を続ける。
「あのマシン、エクサランスだったか」
「エクサランス!?」
「そのマシンに何か?」
「ひょっとしたら答えが隠されているのかも知れない」
ラリアーの顔が考えるものになった。
「ひょっとしたらだけれど」
「ひょっとしたらって」
「あのマシンに何が」
「それはまだ僕にもわからない」
ラリアーもまだそこまではわかっていなかった。あくまで勘だけである。
「けれどひょっとしたらデュミナス様の求めておられるものがあるのかも知れない」
「デュミナス様の」
「じゃあここは」
「うん、出来れば手に入れたいんだ」
ラリアーは言う。
「その機体の構造を知りたいから」
「そうしたマシンは多いけれどね」
「え、ええ」
デスピニスは少しおどっとした態度でティスの言葉に頷いた。
「それはね。確かに」
「実際結構色々なマシンを手に入れてきたわね」
「うん」
ラリアーはまたティスの言葉に頷いた。
「そうだったね。前の世界でも」
「それでも手に入れたものは皆何の役に立たなかったじゃない」
「いや、それは間違いだよ」
ラリアーは今のティスの言葉を否定した。
「どれも役に立たなかったってことはないよ」
「そうかしら」
「むしろどのマシンも役に立ってくれたじゃないか」
「あたしはそうは思わないわ」
「僕達の戦力増強には役立ったよ」
ラリアーが言うのは戦略的見地からだった。しかしティスのそれは違う。しかし戦いを楽しんでの言葉ではないこともわかる言葉であった。
「それは認めるけれ
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