第七十一話 三人の子供
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張が見られる。
「わかったわ」
「デスピニス」
ラリアーの声が柔らかいものになっていた。それはデスピニスに対して向けられていた。
「行こう、デュミナス様の為に」
「ええ」
デスピニスは力なくだがそれでも頷いた。そうして三人で出撃するのだった。三人が出撃したその頃。ロンド=ベルはバグダットに留まっていた。
「アレクサンドリアには戻らないんだな」
「はい」
ルリが一矢の問いに対して答えていた。
「このバグダットで即応態勢を取っているべきです」
「即応体制か」
「修羅もデュミナスも間違いなく来ます」
ルリは断言していた。
「それもすぐに」
「確かな情報があるのか?」
「一矢さん、今までの彼等の行動を考えて下さい」
「彼等!?修羅やデュミナスか」
「そうです。彼等はその地域を一度攻めるだけではないのです」
ルリが指摘するのはそこであった。
「何度も攻めて来ます。これは今まで私達と戦ってきた殆どの勢力がそうですが」
「ああ、そうだな」
ルリの今の言葉に京四郎が頷いてみせた。
「シャドウミラーにしろそうだな。奴等はどいつもこいつも一度じゃ諦めたりはしない」
「だからです」
ルリは彼に対しても答えてみせる。
「このバグダットに留まるべきなのです」
「わかった。それじゃあ」
「ねえお兄ちゃん」
ナナが一矢に声をかけてきた。
「どうしたんだ?ナナ」
「あの修羅の赤いマシンの人だけれど」
「確か」
「フォルカさんですね」
ルリが述べてきた。
「あの人がどうしましたか?」
「何か気になるのよ」
ナナの顔が曇っていた。
「今までかなりの闘志を見せていたのにあの時は」
「そうだな。あれはな」
一矢もまたナナのその言葉に頷いていた。
「おかしい。迷いがある」
「迷いですか」
「あんたはどう考えているんだ?」
今度は京四郎がルリに尋ねてきた。
「迷いじゃなかったら何だと思っているんだ?」
「私も同じだと思います」
ルリもまた一矢や京四郎と同じ考えであった。
「あの方は迷っておられます」
「そうだな、あれはな」
「ああ」
京四郎は一矢の言葉に対して頷いたのだった。
「間違いないな」
「迷いか」
一矢はその迷いについて考えを及ばせた。
「迷いがどうなるか。そこだな」
「正直こればかりはどうなるか俺にもわからん」
京四郎は腕を組んで述べていた。
「どうなるかな」
「それにしても気になります」
ハーリーがふとした感じで言ってきた。
「どうしたました?ハーリー君」
「迷ってるんですよね、あの人」
「はい」
ルリはハーリーに対しても答えた。
「その通りです」
「どうして迷ってるんでしょう、迷うからには絶対に理由がありますけれど」
「あいつの迷いか」
「はい、一矢さん
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