第七十話 未来への飛翔
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「ティス、デスピニス」
「何?」
「どうしたの?」
「今回はここまでにしておこう」
こう言うのだった。
「今は」
「戦いを止めるっていうの!?」
「そうだよ。もう戦力がなくなってきたから」
見ればもう戦力がなくなっていた。ロンド=ベルの後手打ちが効いて戦いは終始そのロンド=ベル優勢だった。その結果である。
「だから」
「撤退しろってことなのね」
「どうかな、それで」
その言葉に最初に頷いたのはデスピニスだった。
「そうね。それじゃあ」
「あたしはまだ戦いたいんだけれどね」
ティスはまだ不満そうだった。
「けれど今の状況じゃこれ以上戦っても無駄ね」
「うん。二人共先に撤退して」
ここで彼は二人に言った。
「後詰は僕が引き受けるから」
「おいおい、御前等だけで話を済ませるのはどうかと思うぜ」
だがここでアリオンがラリアーに言ってきた。
「アリオンさん」
「俺が後詰になるぜ、今回はな」
「えっ、どうして」
ラリアーはそれを聞いて思わずアリオンに対して問い返した。
「気が向いたんでな」
これがアリオンの返答だった。
「だからさ」
「気が向いたからって」
「風が言っているんだよ」
彼はまたラリアーに答える。
「俺に行けってな。だからさ」
「風が」
「わかったら早く行くんだな」
そしてまた言うのだった。
「俺に任せてな」
「ですが」
しかしデスピニスはここで言うのだった。
「アリオンさんだけで相手をされるのは」
「難しいことは言わなくていいんだよ」
しかしアリオンはデスピニスのその言葉に取り合わない。
「風が言っているんだ。早く行け」
「風が」
「そうだ。わかったら行きな」
また言う。
「いいな、それで」
「そうね。わかったわ」
最初にアリオンの言葉を受け入れたのはティスだった。
「アリオンさん、じゃあここは任せるわよ」
「ああ、じゃあな」
「ラリアー、デスピニス」
ティスは今度は仲間の二人に声をかけた。
「わかったわね、それでね」
「アリオンさんがそこまで言うんだったら」
ラリアーもそれに頷くのだった。
「わかったよ。それじゃあ」
「デスピニスもいいわよね」
「ええ」
遂にデスピニスも頷いたのだった。
「アリオンさん、じゃあ御願いします」
「よし、じゃあフェルナンド」
三人の了承を得たアリオンは今度はフェルナンドに声をかけたのだった。そして言う。
「御前もそれでいいな」
「そうだな」
フェルナンドは表情を変えずにアリオンの言葉に応えてきた。
「わかった。じゃあ俺もな」
「行きな。俺に任せてな」
「しかし。こうした時も風か」
「それがどうかしたかい?」
「全ては風に誘われるまま」
フェルナンドの言葉に感慨が入る。
「御前らしいな
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