第六十九話 震える大地
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「だからこそ移るのだ」
「我等の世界にするのだ」
「そう、我等の世界」
このことを述べていく。このことこそが彼等に滲み込んでいく。
「そうしていくのだ」
「あの世界に入りな」
「そうだ、その通りだ」
フォルカは周りの言葉に頷いてみせた。
「だからこそ俺達はあの世界に来たのだ」
「わかっているではないか」
「ならば。あれは何だ」
「フォルカよ」
またマグナスがフォルカに告げる。
「わかっているな。御前もまた修羅」
「ああ」
またこの言葉だった。繰り返される。
「ならば。戦え」
「わかっている。俺は戦う」
マグナスの今の言葉に乗ったのだった。
「何があろうともな」
「わかっているのなら話が早い」
「ではフォルカよ」
また修羅達がフォルカに声をかけていく。フォルカはそれを沈黙して聞いている。
「次の戦いがある」
「その戦いには」
「普段の俺でか」
「あの小僧」
マグナスが次に言ったのはコウタのことだった。
「貴様に激しい闘志を見せているな」
「コウタ=アズマか」
「その名前か」
「知っている。あの世界の人間だな」
「あの小僧を倒せばよかろう」
マグナスが言うのはそのことだった。
「貴様のその拳でな」
(あの小僧)
フォルカは心の中で呟いた。誰にも聞かれないように。
(そしてあの娘。俺はあいつ等に何かを見ている)
「フォルカ」
「むっ!?」
「我等修羅は戦いによって生きている」
「戦いこそ我等の全てだ」
また修羅達が声をかけていくのだった。フォルカに。
「全ては戦いの中に生きている」
「戦いこそ我等の全てだ」
(そうなのか?)
はっきりとした疑問だった。
(俺達にとって。戦いは全てなのか、本当に)
その疑問を抱いていく。しかし答えは出ない。それが出るのかさえもわからない。彼は今修羅から何かに変わろうとしていた。しかしそれにも気付かないのだった。
第六十九話完
2008・6・25
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