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星河の覇皇
第一部第四章 若き獅子その二
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「それは何でしょうか」
 彼は問うた。
「エウロパサハラ方面軍の艦隊司令だ。どうだ、やりがいのある仕事だろう」
「はい」
 この地には今だ多くの反エウロパの旗を掲げるサハラの国やレジスタンスが存在していた。そしてこの地には総督が置かれていた。彼の下に軍があり宇宙艦隊は彼等に対するエウロパの主力ともいえる存在である。
 その司令官ともなれば与えられる兵力及び権限は絶大なものである。事実上ここにいるエウロパの軍の司令官とも言える存在であった。
「卿にはやってもらうことが山程ある。期待しているぞ」
「お任せ下さい」
 モンサルヴァートは自信に満ちた声でそう言うと敬礼した。そして彼は颯爽とその場を立ち去った。
「将来が楽しみだな」
 マールボロはそんな彼の後ろ姿を見送ってそう呟いた。

 この時連合では一つの大きな騒動が起こっていた。
 アメリカと中国、そしてロシアで行なわれる総選挙である。三国共同時期に、しかも大統領を選ぶ選挙まで行なわれていたのである。
 選挙の争点は連合軍への参加であった。日本がまず参加を表明すると日本に賛同する多くの国がそれに従った。そしてオーストラリアやブラジル、そしてトルコといった他の影響力のある国々も次々に参加を表明した。それから暫く経った今連合軍に参加を表明していないのはこの三国と彼等に近い国々だけであった。
 三国共保守派は参加に反対の意向を示していた。連合の独自性に反するというのである。もっとも自分達の勢力を維持したいという考えもそこにはある。それに対し改革派は賛成であった。勢力の維持など最早関係なくこれは時代の流れであると彼等は主張する。そして連合の大義に従うべきだと。
 三国の世論は真っ二つに分かれていた。テレビでも雑誌でもネットでも議論は紛糾していた。中には暴動まで起こっているところもあった。
「果たしてどうなりますかね」
 連合の首相を務めるラフディ=アッチャラーンがキロモトに対し問うた。彼はタイ出身で若くして政治家となりそれから
今に至る人物である。やや小柄な痩せた身体つきの人物であり実務派として知られている。
「そうだな。おそらく賛成派が勝つだろう」
 キロモトはそのざっくばらんな笑顔を見せて言った。
「世論は何だかんだ言っても賛成派が多数を占めるしな。反対派で目立つのは一部の声が大きい者達だけだ。こうした時少数派はどうしても声が大きくなり目立ってしまうものなのだ」
 これは彼等が追い詰められているからであろうか。民主主義においてはよく見られることである。
「それに時代がそちらに向かっている。賛成派が言うようにな。これは人間には如何ともし難いものだ」
 彼は時代の流れも読んでいた。
「では閣下は今回の議論について何も心配はされていないのですね」
「うむ。今は吉
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