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星河の覇皇
第一部第四章 若き獅子その二
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った。ただでさえ人口が多い彼等はこれにより爆発的に増加した。そして彼等は今の人口に至ったのである。
 人口増加政策は連合に合っていた。こうして彼等は人類の全人口の約七分の六、国力にして九割近くを占めるようになったのである。個々の星や人々の豊かさにおいてはエウロパの方が上であったが彼等には数があった。今までまとまりに欠いていたおかげで他の三国の脅威とはならなかったのである。
「だがそれも変わってきているからな」
 あまりにもまとまりに欠ける為治安上の問題が深刻であったのだ。そして跳梁跋扈する宇宙海賊を取り締まる為に中央警察を設置し中央政府の権限を強化した。そして今度は。
「中央軍が出来たとなると情勢は一変しかねないな」
 モンサルヴァートは危惧する顔をした。
「果たして上手くまとまるでしょうかね。あの連中が」
「指導者次第だな」
 彼は幕僚に対して言った。
「今の大統領キロモトは中々能力のある人物のようだ。それに国防省となった八条という男だが」
「日本の政治家だったのでしたな。何でも大学を出て軍に入ったとか」
「そうだ。あの男の行動により今後連合は大きく変わる可能性がある」
「今まで変わらなかった連中がですか?」
 別の幕僚が言った。
「そうだな。変わる時はあっという間に変わるものだ。連合がその時に来ているとしたら」
 モンサルヴァートは言葉を続けた。
「この宇宙に及ぼす影響は計り知れないものになるだろうな」
 最後の船が出発した。モンサルヴァート達はそれを黙して見ていた。
 エウロパによるアガデス侵攻は幕を降ろした。エウロパはアガデス政府の降伏と領土の併合を宣言しアガデス市民のほぼ全てを国外退去させた。そしてこの地にエウロパ市民を移住させる計画を発表した。
 これに対し連合中央政府及び構成国全ては強く抗議した。そしてアガデス市民の受け入れを発表した。彼等の多くはサハラ各地に亡命するか連合の開拓地に入っていった。
 サハラ各国もマウリアも抗議した。とりわけサハラでは反エウロパの運動がさらに激化していくことになった。なおアガデス攻略の司令官であったモンサルヴァートはこの功績により上級大将となった。
「おめでとう、これで君もその背にそのマントを背負うことになったな」
 マールボロは司令室においてモンサルヴァートに対して笑顔で言った。エウロパでは少将以上は軍服の両肩にケープを着ける。大将になると黒いマントを着用するのだ。上級大将になると白いマントだ。今彼はそれを身に着けたのである。
「はい、有り難うございます」
 モンサルヴァートは微笑んで答えた。
「二十五歳で上級大将とはな。これはエウロパ軍設立以来のことだぞ」
 マールボロは上機嫌なままである。彼の昇格が余程嬉しいらしい。
「そして君は新たな役職に任命されたぞ
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