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星河の覇皇
プロローグ二
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まとまった勢力を築くことが出来なかったアラブや北アフリカ各国はそれぞれ独自に進出した。連合やマウリアに入る者も多かったし事実北アフリカ各国以外のアフリカ諸国はそうであった。彼等は全て連合に入った。だがそれでも彼等は進出した。
 だが進出する先はあまり残ってはいなかった。他の勢力に入ることを潔しとしなかった彼等はこの複雑に入り組んだ地域に入ったのである。
 彼らは宇宙でも統一した勢力を築かなかった。各国がいがみ合い抗争が続いた。そして戦っていた。
 そうした状況が何時までも続いた。この地域では多くの国が興亡したが栄枯盛衰を繰り返しそして血が流れた。それでも戦いは終わらなかった。
 そしてそこにエウロパが侵攻してきたのである。彼等は少しずつその勢力圏を拡げていった。
「これは我等の危機である。一刻も早く統一した勢力を!」
 こう主張する者もいた。だがそれは逆効果であった。
 有力な国が我が、我がと名乗りをあげ再び争いを激化させたのである。そしてエウロパを退けるどころではなくなった。
「これは神々が我々に与えた僥倖だな」
 エウロパの司令官の一人がこう言ったという。その通りであり彼等はいがみ合いに明け暮れ外に目を向けようとはしなかった。
 こうした彼等かってのアラブ諸国の末裔達にとっては再び嫌な時代が続いた。エウロパの侵略は続き連合も辺境の開発の他に彼等の勢力圏に眠るとされる多くの資源に関心を持ちはじめていた。
「奴等には有り余る程あるだろうが」
 しかしそれとこれとは別であった。人間の欲望には際限がないのだから。
 まさに危機的な状況であった。誰もが何とかしたいが何も出来ない状況であった。
「このまま他の奴等に食い散らかされてしまうのか」
 その中央にある星ムハンマドに移されたメッカを見て嘆く者もいた。彼等は最早他国と内部の戦乱に弄ばれる哀れな存在であった。
 しかしその惨状も幕を降ろす時が来た。人々が望むものは出て来るものなのである。
 英雄、指導者。彼等が欲していたのはそれであった。彼等を統べ護り戦う者。それが今出て来ようとしていたのである。
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