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星河の覇皇
プロローグ二
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向こうにその場所を見出していた。丁度人類の勢力圏を東西に分ける帯であった。 
 その帯の北側、そこが彼等の勢力圏であった。彼等はその中の中央にある星系に首都を置いた。その名は『オリンポス』。ギリシアの神々が住んでいた山の名である。
 彼等の勢力圏は小さかった。しかしそれぞれの星はどれも豊かであった。そして人口では劣りながらも連合に次ぐ勢力を形成した。これは彼等の結束が比較的強かったことも幸いした。
 彼等は連合やマウリアよりも強い中央政府のある国家であった。各国の主権は国家元首位でありその他は全て中央政府にあった。そのリーダーシップにより開発を進めていった。
 欧州本土はオリンポスに移された。連合の市民達は宿敵が一人残らず去り大いに喜んだという。
「今に見ておれ」
 そう言ったのは当時の欧州総統ヘンリー=スチュアートであった。彼は何時しかエウロパが連合を凌ぐ勢力になるとその死の間際まで言っていた。
 しかしそれは実現しなかった。あまりにも星系が少なく勢力圏が狭かった。
 これは誤算であった。エウロパの北と西には星系は何十万光年もなく太陽系の果てであったのだ。
 しかも東には連合がいる。彼等とはアステロイド帯を挟んでいるが唯一つの通り道があった。
 ブラウベルク回廊。欧州再興の父の名を冠したのはこの先に希望が広がっていると言われたからであった。
 だが今この回廊は人類の勢力圏の中でも最も緊張した地域の一つとなっていた。よりによってその向こう側は連合の中でも特に欧州の勢力を嫌う国の勢力圏であったのだ。
 彼等は各国の援助を得て回廊の出口、連合から見れば入口に要塞群を建設した。そしてそこから一歩も通さないつもりであった。
 エウロパにとってもそれは同じであった。回廊の入口にこちらも要塞群を築いた。そして睨み合いを続けたのである。
 彼等の進む方向は南しかなかった。だがそれは困難であった。
 南方はアステロイド帯だけでなくブラックホールや磁気嵐、超新星、彗星等がひしめく異様な地形であった。容易には進出出来なかった。連合やマウリア、当然エウロパの勢力圏にもこれ等はあったが質量共にその比ではなかった。
 しかしそこに進出した人々も既にいたのである。それでもエウロパはそこに進出せずにはいられなかった。最早どの星系も人口は限界にあった。一千億だというのに養える数は限界に達しようとしていた。スペースコロニーを築くのにも限度がある。しかも不経済であった。
 結果的に侵略になる。連合はそれを冷笑し批判した。だがそれでもやるしかなかった。
 だがここで一つの問題が生じる。以前よりここに住んでいた人々はどうなるのか。
 当然武力衝突となる。だが状況はエウロパにとって有利であった。
 何故か。彼等は一つの勢力ではなかったからである。 
 一つの
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