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星河の覇皇
第一部第四章 若き獅子その一
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 この領土は狭いだけではなかったのである。地形は単調でこれといった障壁は存在しない。ブラウベルク回廊を越えたならば護りはニーベルング要塞群だけしかないのである。
「若し連合がその全戦力を使ってニーベルング要塞群攻略に向かったならば・・・・・・」
 エウロパは忽ちのうちに蹂躙されるであろう。それは容易に想像がついた。
「最早一刻の猶予もないらん。今整えなければ大変なことになる」
 彼は心の中でそう呟きながら自身の執務室に入った。
 執務室はかってこの宮殿の主であった王が執務室にしていた。従ってその内装は見事なものであった。
 大理石を基調とし白銀やダイアで装飾されている。机はこの地では貴重なものとされるサハラ東方産の黒檀から作られている。ペン等机の上に置かれているものも見事な装飾が施されている。
「だが今私がこの場でどうこう言ってもはじまらないな」
 彼は机に座りそう思った。
「それに今はこのサハラ北方への殖民を進めていくことも重要だしな。連合が動くにしてもまだ時間がある」
 その通りだった。連合にとって最大の関心は開拓とその地の治安である。それがある程度まで進むまでは動くことはないと彼は見ていた。この予想は的中する。だが彼の予想を越えた部分もあった。そのことを彼は後に驚愕と共に知ることになる。
 机の上の電話が鳴った。彼はそれを手に取った。
「はい」
 電話の主は彼の直属の上司であるサハラ総督マールボロ元帥からであった。頭がすっかり禿げ上がった皺の多い人物である。
「これは閣下、お早うございます」
「うむ、お早う」
 マールボロは挨拶を返した。
「どうやら気分は良いようだね」
「少し悩んでおりますが」
 彼は冗談交じりに言った。
「どうした、また若い女の子に振られたのかね」
 マールボロも冗談で返した。モンサルヴァートは別に女好きというわけではない。だがその整った美貌の為女の子からは
人気が高い。流石に俳優やアイドル程ではないが。
「ええ。とびきりの美人に。おかげでこの宮殿で今まで沈み込んでおりました」
 これはこの地のエウロパ出身の女の子の間の格好良い男性ランキングで惜しくも二位になったことを言っているのである。一位は今大人気のアイドルだ。
「ははは、まあ彼には勝てはしないだろうな」
 マールボロはそれを聞いて笑って言った。彼は中々の芸能好きで知られている。
「確かに男前ですからね。それでも男色家という噂がありますが」
 この時代では同性愛はどの地域でも特に珍しいものではなくなっていた。同性の間でも結婚も認められていた。だがやはり異性同士のカップルが圧倒的に多いのは言うまでもない。
「それは彼の事務所の社長の趣味だろう。わしも彼とは会ったがごく普通の好青年だぞ」
「そうなのですか」
「ただ髭が濃
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