第一幕その六
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第一幕その六
「ガリアの森に集う偉大な神々を」
「裏切った。どういうことなの」
ノルマには話がわからなかった。それでまたアダルジーザに問うのであった。
「ある方との恋に落ちて」
(それでは)
ノルマは今のアダルジーザの言葉を聞いて自分自身のことに想いを馳せた。
(私と同じ。それは)
「続けて宜しいでしょうか」
「え、ええ」
ノルマはここで自分が顔を強張らせていることに気付いた。それで慌ててアダルジーザに応えるのであった。
「いいわ、どうぞ」
「わかりました。それでは」
アダルジーザはそれを受けて話を再開させた。ノルマもそれを聞くのであった。
「いつもあの方だけを想い。あの方のことを考えてしまうのです」
(それも同じ)
ノルマはまた思うのだった。
(私と。彼女も私とおなじ罪を)
「私の甘い吐息を吸って接吻をしたいと。美しい髪を撫でたいと仰って」
(それもまた同じね)
ここでも自分とアダルジーザを重ね合わせるのであった。
(何もかもが)
「竪琴の音の様に甘く響くあの方の声」
アダルジーザはまた語る。
「あの太陽の様な瞳が私の心の中にまで滲み渡るのです」
「それから。離れられないのね」
「私は。罪に塗れた女です」
そう言って自分を攻める。
「この私の罪は。許されませんね」
「いえ」
だがノルマは。その言葉に対して首を横に振るのだった。
「恋とは。全て神々によって誘われるもの」
「神々によって」
「だから。許されるものなのよ」
「そうなのでしょうか」
「ええ、そうよ」
優しい声でアダルジーザに語り掛ける。
「だから安心して。私がいるから」
「本当に宜しいのでしょうか」
ノルマの赦しの言葉にも怯えている。それだけ彼女は己の罪を自覚してそれに対して恐れおののいているということに他ならなかった。
「私が。赦されて」
「神聖な掟を破っても」
ノルマは言う。
「貴女は私が守るわ。神々も」
「貴女と神々が」
「ええ。少なくとも私は」
ノルマはアダルジーザに自分を見ていたのだ。だからこそ言うのだった。どうしてそれで見捨てることができようか。もう一人の自分を見ながら心の中で思うのだった。
「必ず貴女を守ってみせるわ。どんな恐ろしい責め苦からも」
「ノルマ・・・・・・」
ノルマはアダルジーザを抱き締めてきた。アダルジーザもそれを受ける。二人は今これまで以上になく深い結びつきの中にお互いの身を置いたのであった。
「私は。これで」
「気が楽になったかしら」
「はい」
ノルマの言葉に頷く。
「有り難うございます。本当に」
「それでアダルジーザ」
ノルマはアダルジーザから身体を離し。そのうえで彼女にまた問うてきた。
「はい、何でしょうか」
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