第一幕その三
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「地上を包んで下さい」
「これで今は終わりだ」
ノルマはドルイド達の復唱を背に受けながらガリアの同胞達に告げた。
「何時の日かこの聖なるガリアからローマ人は消え去る。神が怒りに燃えて彼等の血を求めた時こそは」
「その時こそは」
「私はまた告げるだろう」
「怒りを」
「そう、神の怒りを」
ノルマは言うのだった。
「その時こそ我等は立ち上がる」
「ローマに対して」
「そして」
ガリア人達は希望に満ちた声で言い合う。
「ローマ人達を倒し」
「あの憎しむべきポリオーネも」
「そう、この私の手で」
(けれど)
だがノルマはここで毅然とした顔の裏で心の中で呟くのだった。
(私にはできない。貴方に対しては)
これはノルマの本音であった。
(あの美しい日々が戻るのなら私は貴方を守れるのに。貴方と共にいることこそが私にとって最高の幸せなのに)
「しかし怒りの日は近い」
「その通りだ」
ガリア人達はまた猛ろうとしていた。
「その日に我々は立とう」
「その時にこそ」
(もう一度あの時を思い出してくれれば)
まだノルマは心の中で呟いていた。
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